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ホンダ、新型シビック投入 若年層狙い四輪事業で巻き返し図る

 ホンダは24日、秋に国内で発売する主力車「シビック」の新型車を公開した。日本市場では4年ぶりの全面改良となる。ターゲットは、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」。SNSや動画共有サイトなどを使いこなし、高い発信力があるだけでなく、購買意欲も旺盛とされる世代だ。クルマ離れが指摘される若年層に、開放的な空間や充実した安全機能を備えた上質な商品を売り込み、収益力が低迷する四輪事業で巻き返しを図る。

 「情報があふれる中で自分の社会的意義を見いだそうとし、華美なものより本質を求める」。開発責任者の佐藤洋介氏はZ世代の特徴をこう分析する。

 新型シビックは5ドアのハッチバックで、排気量1500ccのターボエンジンを搭載。無段変速機(CVT)車、6速マニュアル車を用意した。

 コンセプトは「爽快」だ。カーブの先が見渡せる視界の良さを実現し、後部席も心地よく座れるよう配慮。運転席の前方にあるメーターも瞬間的に情報を理解して次の操作にスムーズに移れるようにした。米国の音響機器メーカー、ボーズ製のスピーカーを搭載し、コンサート会場にいるような臨場感も味わえる。

 安全運転支援技術システム「ホンダセンシング」も旧型から向上。誤発進や近距離衝突といったリスクを軽減したり、渋滞時の高速道路で前走車の車速変化に合わせながら車間距離を保ったりする機能を新たに加えた。

 このほか、スマートフォンを車の鍵として使ったり、カーナビの地図を更新したりするサービスなども標準装備。ハイブリッド車(HV)と、スポーツタイプの「タイプR」も来年発売する。

 四輪事業の立て直しという課題を抱えるホンダは生産能力を最適化するため、英国工場や狭山工場(埼玉県狭山市)の閉鎖を決定。販売台数の減少を理由に、1990年代のミニバンブームを牽引(けんいん)した「オデッセイ」や高級セダン「レジェンド」などの生産終了も決めた。

 シビックは昭和47年に初代が登場。これまで170カ国以上で2700万台以上販売した。屋台骨を支えてきた看板車種も対象とした聖域のない構造改革が進む中、生まれ変わったシビックが新たな需要を開拓できるか注目される。

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