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「困ったことがあれば経産省に頼ればいい」それが“東芝問題”の根本原因だ (2/2ページ)

 ■「困ったことがあれば経産省に頼ればいい」というなれ合い

 原発や防衛産業を手掛ける東芝と経産省との「なれ合い」の歴史は長い。東芝の歴代社長をみると、経団連会長などを歴任した第4代社長の石坂泰三氏や第二臨調で知られる第6代社長の土光敏夫氏は、人事抗争や業績低迷のため、外部から招かれた経営者だ。第20代社長の車谷氏も三井住友フィナンシャルグループの出身で、東日本大震災で被災した東京電力の再建を巡って、経産省と通じていた。

 「『困ったことがあれば経産省に頼ればいい』というなれ合いの構図が東芝には根強くある」(東芝幹部OB)という風土は、さきの外部報告書で実名入りで書かれた東芝役員と経産省幹部とのやり取りからもうかがい知れる。

 経産省にしても、凋落する日本の製造業への危機感に加え、業界への影響力を保持し、さらには自らの天下り先を確保していくためにも東芝をはじめとした老舗企業の存続は「至上命令」となる。

 ■経産省による「企業再建」は失敗続き

 しかし、かつて、経産省が乗り出して成功した企業再建の事例はほとんどない。半導体では経産省主導でNECや日立製作所、三菱電機のDRAM事業を統合したエルピーダメモリが破綻。液晶でもシャープへの支援を画策するが鴻海精密工業の傘下に入った。

 そして極めつきが東京電力だ。福島第一原発で被災、現在、国家管理下にあるが、常時、取締役を送り込んでいるのにもかかわらず、業績は悪化の一途だ。

 原発に関しては安全面での一連の不祥事で柏崎刈羽原発の再稼働は見通せない状況になっている。電力自由化で業績も悪化の一途で、この夏や来年の冬には電力不足が予想されるなど、電力の安定供給にも問題が生じつつある。

 東芝はNAND型半導体では世界で伍していける技術力があったが、一連の経営の混乱とそれに伴う財務の悪化で、東芝メモリ(現キオクシアホールディングスを米投資ファンドのベイン・キャピタルと韓国半導体大手のSKハイニックス連合に株の過半を売却した。さらに最近では米中対立を契機にマイクロン・テクノロジーやウエスタンデジタルといった米半導体大手もキオクシアへ食指を伸ばし始めている。

 ■経産省の画策で、海外からの信用を一気に失う恐れ

 半導体不足は日本の自動車メーカーにも打撃を与えていることから、経産省らは、台湾の半導体受託製造大手TSMCの国内誘致を進めている。供給力不足の解消に加え、弱体化する半導体産業のテコ入れを目指すが、「新たに半導体を設計・開発する力はすでに日本にはなく、せいぜい半導体製造装置や材料メーカーが潤うだけ」との冷めた見方が多い。

 経産省の主導する政策はどこか腰が引けている。東芝のある幹部は、「2~3年ごとに幹部が入れ替わるため、長期的な視点で企業経営に取り組める役人はいない」という。一方、経産省の担当者からすれば「先々の出世を考えれば、任期中はリスクを取らずに無難にやり過ごすほうが得策だ」という本音がある。

 自らの保身のため、法律を盾に、経産省らに頼る東芝の姿勢は批判されてしかるべきだが、日本の企業にコーポレート・ガバナンスコード(企業統治指針)の順守を説いてきた張本人が経産省だ。外為法の改正は当初、「恣意的な運用などにより海外投資家の日本離れを加速する恐れがある」という指摘があった。案の定、今回の一件で海外からの信用を一気に失う恐れがある。

 改正外為法の趣旨や運用について、梶山弘志経産相や菅義偉首相がしっかり説明する必要がある。それができなければ、今度は市場からの信用失墜という重いペナルティーが、日本企業全体に科されることになる。

 (プレジデントオンライン編集部)(PRESIDENT Online)

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