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「世界一おいしい」選手村ギョーザに新商品 羽生結弦の一言が開発のきっかけに

 東京五輪に出場していた海外選手から「世界一おいしい」と絶賛された選手村の餃子が、さらなる進化を遂げた。話題の「冷凍ギョーザ」を提供していた味の素冷凍食品が、脂質控えめでタンパク質を多く取れる選手向けのギョーザ2種類を公式オンラインストアで発売。2003年から味の素グループが取り組むトップアスリート強化支援事業「ビクトリープロジェクト」の中で得た選手の声を受けて開発したもので、東京五輪で金メダル27個を量産した日本選手の活躍を陰で支えていた。(川峯千尋)

 開発のきっかけは、2019年冬ごろ。同プロジェクトの栗原秀文シニアディレクターが、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(ANA)とシーズン中の献立について意見交換中、羽生選手から「俺、餃子好きっす。何個でも食べられるんですよ」と提案を受けた。食が細い羽生選手は普段は鍋物が中心になることが多いが、栗原氏は「何としても彼が食べられるものを作ってあげたい」と一念発起。他競技の選手からも「餃子はテンションが上がる」「好き」との意見を聞いていたといい、開発に着手した。

 人気の一方、餃子はそれまで選手強化の現場であまり活用されていなかった。東京五輪で柔道女子52キロ級金メダルの阿部詩選手(日体大)は「対人競技なのでにおいが気になる。試合に前に食べるという考えがなかった」といい、ニンニクや脂っこさがネックになっていた。栗原氏は自宅で妻と試作を重ね、低脂質ながら、しっかりと栄養素を取れる餃子を開発。味の素冷凍食品の岩崎裕新事業開発部マネジャーと連携し、油や水不要で簡単に調理ができるニンニク不使用の餃子が生まれた。

 試合前に適している「エナジーギョーザ」は豚肉や鶏肉を使った中具を米粉の皮で包んだ。代謝をあげるビタミンB1や炭水化物など、効率よくエネルギー補給ができる。豆板醤で味付けしたことで、緊張で食欲が落ちるときでも食べやすくなっているという。

 試合後や調整期に適している「コンディショニングギョーザ」は大豆、鶏肉にニラ、ニンジン、カボチャなどの6種類の野菜をブレンド。体の状態を整えるタンパク質とビタミン類を手軽に取れる。従来品から脂質を57%カットしたため、疲れているときでもあっさりと食べられるらしい。

 どちらも具の味がしっかりとついていて、調味料なしで食べられることもポイント。栗原氏は「焼き油を使ったり、つけダレを使うと栄養価がぶれる。そういったことがないので栄養管理もしやすい」という。一人暮らしの選手らからも「時間がなくてもすぐ作れる」「1個単位で栄養の調整ができる」と高い評価を得たという。

 東京五輪では、選手村で提供された同社の冷凍ギョーザに人気が集中。その納品数はパラリンピックも合わせ計60万個に及ぶといい、海外選手が「世界一おいしい」などとSNSで発信するなどして話題になった。

 今回の“進化型ギョーザ”は五輪期間中、選手村とは別に、そこに隣接した日本選手団専用の施設「G-Road Station」で提供され、「おおよその選手の皿に餃子がのっていた」と栗原氏。柔道で兄妹同日金メダルを成し遂げた男子66キロ級の阿部一二三選手(パーク24)と詩選手も試合前日の計量後に食していたという。

 トップアスリートのみならず、部活に励む学生や健康に気を使う人にもおすすめといい、栗原氏は「強化現場だけでなく、一人暮らしで自炊する選手や部活生のお弁当でも重宝する。いろんなシーンで活用してもらえたら」と期待を込める。

 2商品は公式オンラインストア(https://shop.ffa.ajinomoto.com/)の限定販売で、エナジーギョーザは30個入り1200円、コンディショニングギョーザは30個入り1500円(ともに税込み。送料別)。

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