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スーパーカップ、ジャンボモナカ、パピコ…激戦のアイス市場で結局“定番”が選ばれるワケ (1/2ページ)

 家庭用アイスクリームは、毎週のように各社が新作商品を発売する激戦市場だ。だが、年間売上高で上位に名を連ねるのは決まってロングセラー商品ばかり。経済ジャーナリストの高井尚之さんは「上位のうち7ブランドが発売40年を超えるベテラン勢だ。定番が売れるのには3つの理由がある」という--。

 ■毎週新作が出るのに、売れるのは“定番”ばかり

 毎週のように新しい商品が出る「アイスクリーム」--。新商品がいち早く出回るコンビニで、それを探す消費者も目立つ。アイスマニアの中にはSNSで新作アイス情報のアカウントをフォローし、情報収集に余念がない人もいる。

 こうした人気も反映し、全国の小売店で買える家庭用アイスの新商品は年間約250種類に上るという。

 だが「限定品」で発売され、一定期間が過ぎれば販売終了となる商品も多い。中には人気爆発で、いち早く終売となる商品もある。限定商品は話題性も大きいのだ。

 そんな状況も手伝い、売れ筋アイスはロングセラー商品ばかりとなっている。

 なぜロングセラーが強いのか。人気ブランドの横顔を紹介し、消費者心理も考えた。

 ■スーパーカップ、ジャンボモナカ、パピコ…と定番がずらり

 同業界の専門メディア「アイスクリームプレス」の調査によれば、2020年度の上位ブランドと年間売上高は別表のとおりだ。市場の拡大を反映し、以前より売上高100億円前後の“メガブランド”も増えた。

 ここでは売上高80億円以上のブランドを紹介したが、多くの人が「一度は食べたことがある」名前がずらりと並ぶ。これ以外に別枠1位で「ハーゲンダッツ」(ハーゲンダッツ ジャパン)があり、2020年度のブランド全体の売上高は約480億円となっている。

 ■ダントツで人気の「超バニラ」

 実は上位ブランドの顔ぶれは、長年ほぼ同じ。3ブランドの横顔を簡単に紹介したい。

 「エッセルスーパーカップ」(明治)は、ブランド全体(定番3品+シリーズ品)で首位と圧倒的人気を誇る。同ブランドの大黒柱が「明治 エッセルスーパーカップ 超バニラ」だ。ブランド内の2位商品の約4倍、「超バニラ」が売れるという。

 「超バニラ」のパッケージで誇らしげなのが、「バニラの王道」の6文字だ。2005年から掲げているが、実は同商品は種類別では「アイスクリーム」(乳成分15%以上、うち乳脂肪分8%以上)ではなく、「ラクトアイス」(乳成分3%以上、乳脂肪分は問わず)なのだ。

 その商品が堂々と「王道」を主張するのが面白い。人気の秘密は競合も一目置く“バニラ感”で、発売時から「乳脂肪ではなく植物性脂肪13%と卵黄脂肪で旨みを出した」。当時の基本設計を今でも変えず、「安い・デカイ・ウマイ」を訴求し続けている。

 ■チョコモナカジャンボ、ハーゲンダッツ好調の要因は?

 ジャンボモナカは、「チョコモナカジャンボ」と「バニラモナカジャンボ」(森永製菓)の総称で、同社社内では「ジャンボグループ」と呼ばれる。

 「チョコモナカジャンボ」は“単品で売り上げ首位”で、20年連続して販売金額も拡大中。人気の秘密はパリパリの食感で、中に入るチョコは板チョコではなく、液体を流し込み固めるなど、喫食時の口溶けにもこだわる。

 「バニラモナカジャンボ」は2013年全国発売の新参だが、コロナ禍の2020年度も対前年比120%を記録し、伸長率では前者を上回った。バニラ味には、ほんの少し発酵乳を使うなど工夫を凝らし「さっぱりしているから毎日でも飽きない」という声も寄せられる。

 長年、関ジャニ∞を起用したテレビCMでもおなじみで、「バニラモナカ」単独でも関ジャニのCMで訴求して以来、売れ行きに拍車がかかったという。

 別枠1位「ハーゲンダッツ」人気を支えるのは「ミニカップ」と「クリスピーサンド」だ。

 ミニカップの売れ行きトップ3は「バニラ」「ストロベリー」「グリーンティー」の順。この順位も長年変わらない。定番以外にさまざまな期間限定品で訴求し、今年の夏は期間限定で「濃苺(こいちご)」を出すなど、新作の味がSNSでも話題を呼ぶ。

 今年で発売20年を迎えた「クリスピーサンド」も鉄板だ。こちらの一番人気は「ザ・キャラメル」。クリスピーサンド全体では「20年間で累計販売個数は約5億個」に達した。競合より高価格でも「奮発気分のハーゲンダッツ」と支持を集め、女性からの支持も高い。

 ■発売40年超のベテランが選ばれる3つの理由

 さて、冒頭に記した「ロングセラーが多い」を裏づけるために、発売年も加えてみた。

 13ブランドのうち、7ブランドが発売40年を超える。最年少は16年、最年長は58年、平均年数は36年強とベテラン中心なことが分かる。この人気を筆者は次のように考えている。

 (1)手頃な価格と、どこでも買える利便性

 (2)メーカー各社の創意工夫

 (3)ブランドへの安心感とノスタルジー消費

 引き続き注目ブランドを紹介し、コロナ禍での(3)の消費者心理を見ていきたい。

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