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代替燃料で日本の航空業界出遅れ 「飛び恥」で競争力低下も

 全日本空輸が企業と費用を分担する新たな仕組みで普及を目指す、環境負荷の少ない「持続可能な代替航空燃料(SAF)」の活用は、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロとする業界目標の達成に不可欠だ。ただ、大量供給に必須な国産化は欧米に後れを取り、海外調達も国内全体では進んでいない。背景には社会の理解不足があるとされる。世界ではCO2排出量の多い航空機の利用を避ける「フライト・シェイム(飛び恥)」との言葉も広がり、将来の競争力低下につながる恐れがある。

 「国内でSAFにどの程度の需要があるのか分からない。だから需要が少なかった場合の補償がなければ企業投資も進まない」

 日本航空の担当者は国産化が欧米より遅れている理由を説明する。同社を含め30年を前に国内での製造、供給体制の構築を予定する企業・団体グループは複数ある。だが、欧米のように社会からの理解や国からの手厚い補助があれば、「もっと国産化は早まっていたのではないか」と話す。

 現在も理解が進んだとは言い難い。世界の航空業界で使用される燃料に占めるSAFの割合について、30年までに10%に増やすことなどを盛り込んだ世界経済フォーラムの宣言に署名したのは、国内企業では日本航空とANAホールディングス(HD)のみ。欧米諸国はSAFの製造企業に加え、人員や貨物の輸送で航空を利用する先進企業が多く署名しているという。

 製造企業も欧米に偏在しており、調達は希少性や価格の面から難しい。ようやくANAHD傘下の全日空が昨年から国内で初めて調達を開始した。日航は23年からの予定だ。

 政府は30年に国産商用化を実現させ、価格も既存の燃料並みとする方針を示しているが、製造以外にも空港での給油設備の整備など進めるべきことは多い。SAFを給油できなければ、SAFを使う海外の航空会社が日本への運航便を減らす恐れも出てくる。

 全日空の担当者は「『しっかりとした市場(需要)がある』と分かれば、国産化も海外調達も進む。それは結果的に国の競争力につながる」と力を込めた。

(福田涼太郎)

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