盗難車でいっぱい…外国人が集まる“ヤード”って何?

2010.7.27 19:25

 「ヤード」と呼ばれる自動車解体作業場が、全国で一斉摘発された。外国人の自動車窃盗団が盗難車を解体し、不正輸出するための“基地”で、その存在は数年前から問題になっていた。窃盗団の中には中東やアジアで人気のトヨタ・ハイエースばかりを狙う“専門業者”もいたという。全国に広がる外国人自動車窃盗団のネットワークとは-。

 警視庁など全国47都道府県警は22日、盗難自動車の不正輸出を目的とした外国人組織の拠点とみられる計約440カ所の「ヤード」について、盗品等有償譲り受け容疑などで家宅捜索や立ち入り検査を行った。

 「警察庁は、ヤードが盗難車の不正輸出や不法外国人の就労、違法薬物売買など、外国人犯罪の温床になっているとみている。今回、初の一斉摘発を行ったのは、11月に横浜市で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に、国際テロ組織との結びつきも指摘されるこれらの拠点を根絶したい狙いもあるようです」(捜査関係者)

 ヤードは人目に付きにくい都心郊外に集中。関東でも東京以外の各地域に点在しているという。外国人の自動車窃盗団が拠点としていた栃木県の工場に立ち入った捜査関係者は次のように語る。

 「解体工場や作業場が並ぶ県道沿いの小道をさらに入ったところに建っていました。2メートル以上の高さの鉄板で覆われた200平方メートルほどのスペースに、車両を下から解体するための穴も掘られていました」

 ここでは不法滞在のベトナム人従業員3人が逮捕されたが、「彼らは組織の末端に過ぎない。窃盗団は盗む組織、解体する組織、輸出する組織などに細分化されている。暴力団が関与しているケースもあり、実行犯を捕まえても全容解明は難しい」(同)という。

 窃盗団に特に人気なのは、トヨタ製ワゴン車「ハイエース」だ。

 「小型バスや貨物運搬車にもできるため、中東やアジア、アフリカで非常に需要が高い。トヨタブランドの人気も高いため、20万キロ以上走行したものでも、海外なら平気で20万-30万円の値が付く。同じトヨタ製のSUV車『ランドクルーザー』も人気です」(都内の中古車販売業者)

 警察庁によると、10年前に比べて自動車盗難の認知件数は半減している一方、ハイエースの被害件数はここ3年で400台近くも増えている。

 23日には、大阪、愛知など15府県で839台、約15億3500万円相当を盗んだナイジェリア、ブラジルなど9カ国63人のハイエース専門窃盗団が摘発された。窃盗団が盗難車の保管場所にしていたのは全国24カ所に点在するヤードだった。盗難車はヤードで解体され、税関の監視の目をすり抜けて数十カ国に輸出されるという。

 「正規の中古車市場でも、10年ほど前から外国人の参入が目立つ。特にパキスタン人の存在が際立っており、いまでは全国のオークション会場にイスラム教信者のための祈祷場所を設けるほどです」(中古車輸出業者)

 国内では不振だが、世界における日本車の人気はまだ健在なようだ。

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