【株主総会ライブ】ソフトバンク(4)「エネルギーなくして情報革命はできないと気づいた」

2011.6.24 12:21

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 質問者「自然エネルギーの取り組みについて教えてください」

 孫社長「電気に対する興味はゼロです。電気のワットとかパスカルだとか、中高生のとき、そういえば教科書にあったなという程度で興味ゼロです。次の30年ビジョンでも考えの外です。しかし、東日本大震災で心底考えさせられました。人生って何だろう、会社って何だろう、人間はなぜ、生まれ死ぬのか色んなことを考えさせられました」

 「われわれの電波が少しでもつながれば、1人でも救われていたかもしれない。電波が届かないせいで亡くなった方がいるかもしれない。胸が痛くて、涙が止まらなくて、心底考えさせられました。ともかく私はこれまで情報革命一本だと、それさえできれば幸福というのを心底疑っていませんでした。ただ震災以降、世の中に苦しんでいる人がたくさんいる。電気がまだままならなくて日本中の人々が節電しなければならない。放射能の脅威がなくならないなか、情報革命だけやれば、本当に人々を幸せにできるのか心底悩んで、眠らない夜をすごして考えてきました」

 「そこで私はエネルギーなくして情報革命はできないんだと気づいた。わが業界には電気通信事業という言葉があるが、これまで電気という言葉を意識したことがなかったが、今は強烈に意識させられている。電気を使って初めて通信ができる」

 「何としても、政府、東電が解決できなければ、手を挙げるしかないじゃないかと思い立ったわけです。原発は効率よく電気を発電するけれども、一度事故が起こるととんでもない。原発をゼロをすべきではないという人もいるし、推進論者の人でも原発増やせでなく、依存度を下げるべきという人もいる。すると代わりになるエネルギーを1日も早く作らないといけない。最近ニュースで『菅孫』とかいうことばありますが、何党だとか、何派だとかどうでもいいんです」

 「電気が足りない、原発が怖い、というなか、解決しないといけないというなかで(自然エネルギーの)モデルケースを作ろうということで、協議会の第1回会合を来月行いますが、34道府県の皆さんが賛同いただきました。ただ、株主の皆さまから今日、同意をいただかないとソフトバンクではできません。同意をいただいたならば、組織を使って皆さまの協力を得て、日本の問題解決に向かいたい。少なくともきっかけ作りを私たちが手伝いたい。定款変更をよろしくお願い致します」 

 「ただ、定款を変更しても法律が通らないと意味がありません。再生エネルギー法案というのは、実はあの震災の日の朝、閣議を通っているのです。その日の午後にあの地震が来た。小説ならできすぎの不思議な話です。あれから3カ月間、一度も審議されず、たなざらしになっています。何党もくそもないだろう、いい加減にせえ、と言いたい。せめて審議せい。国会、政治家は何のためにあるんだ。葬式に行くのが仕事ではなく、法律作ることだろうと言いたいけれど、こればっかりは国会議員にしか権限がない。(文句を言うのであれば)堂々と審議して反対しろ、と私は申し上げたい。誰が総理だろうだと関係ない。審議しろ、国民のためだけを思って法律を考えろ。それだけは私は許せん、というのが私の思いです」

 《会場から大きな拍手がわく》

 「これが通れば、欧米で起きているような、自然エネルギーへの投資が起きます。規制は通信とそっくりですよね。法案が通って皆様の賛同を得たならば、ソフトバンクが堂々ときっかけ作りを手伝える。ちなみにグーグルはスマートメーターに積極投資し、スマートグリッドに支援をしている。以前はグーグルのこの行動にピンと来ていなかったですが、震災後、やはりグーグルはすごい、と」

 「通信のノウハウが、次世代の電力網に貢献できるのではないか、ということも思っています。ただ、われわれは200兆円だとかいっていますが、結局は人々は幸せになって、子供に安全に未来を作って初めて意味があることではないかと、心底思っているわけです。そのためにわれわれは頑張る。成長する。そのために利益を出していくわけです。自然エネルギーの横道は今後のスマートグリッドなどに生きる時代が来る。相乗効果が出るという風にも考えています」

 質問者「成長は続くのですか」

 孫社長「一言でお答えします。やりましょう」

 《拍手》

 「創業以来の企業カルチャーは圧倒的ナンバーワンにこだわるということ。いろいろな苦しいことがあっても、1位にこだわる。何で生まれようが最後は1位になってみせると、そういう思いでこれまで生きてきました。ソフトバンクもそういう思いです。社のDNAです。CM好感度も連続ナンバーワンです。世界中の携帯会社の利益伸び率で圧倒的ナンバーワンです。あれもこれもいろいろナンバーワンがあります。ついでにホークスも交流戦の勝率過去ナンバーワンです。日本シリーズがまだできていないので、選手、監督には頑張っていただきたいです」

 「しかし、営業利益の絶対額ではナンバーワンではない。これに私の性格で我慢できるか。まだ3位だ。これは我慢ならない。われわれは2、3位で満足する会社ではない。横たわる会社を抜くぞ!」

 《さらに拍手。孫社長はゆっくり話し出した》 

 「営業利益で1兆円を突破させます。いずれNTTグループを抜いて、ナンバーワンになります。世界でトップ10の時価総額をなすためには当然。でも、それもこれも何のためにやるんだというと、人々を幸せにしたい。この立った一つのためです」

 《孫社長が経営ビジョンのビデオを放映。質疑応答が始まる》

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