マツダ、ロータリー撤退 RX-8生産終了、水素燃料に活路

2011.10.8 05:00

 日本発の自動車エンジンが姿を消すことになる。マツダは7日、ロータリーエンジン(RE)を搭載したスポーツカー「RX-8」の生産を来年6月に終了すると発表した。

 REは同社独自の技術だが、世界的に高まる低燃費競争には不利となっていることが要因とみられる。RE車の販売台数は少ないことから、同社の経営への影響は軽微とみられるが、世界で唯一のRE車からの事実上の撤退となる。

 ただ、REの「研究開発は継続する」(山内孝社長)としており、将来の自動車用燃料として期待される水素用エンジンとしての実用化を狙う。

 同社は最後の特別仕様車「RX-8 SPIRIT R」を11月24日に発売する。価格は312万円からで、1000台の販売を目指す。

 REは同社の社長、会長も務めた山本健一氏が中心となって開発した。一般のエンジンが2回のピストン往復で1回燃焼させるのに対し、REはピストンの代わりにおむすび形のローター(回転子)がエンジン室内で回転。1回転で1回燃焼するため、事実上、2倍の排気量となり、スポーツカーなどでは性能を発揮しやすい。

 マツダはRE搭載車として、1967年に世界で初めて「コスモスポーツ」を発売。その後「RX-7」に搭載し、86年には生産が7万200台に達するなど若者を中心にヒットした。

 ただ、低速運転時などで燃費性能が劣る欠点があるため、燃費重視が進む中で世界的に販売が落ち込んだ。実際、2003年に発売したRX-8の昨年の世界販売は約2900台、うち国内は960台にとどまっている。

 マツダにとって、REは世界に優位性をアピールする技術だったが、生き残る道はある。それは水素燃料だ。REは排気、吸気、燃焼のエリアが異なることから、開発者の山本氏も当初から水素燃料向きと指摘していた。04年からは水素REを搭載した実験車の公道走行試験を始めている。

 REが日本発の環境対応エンジンとして、再び脚光を浴びる日がくるかもしれない。

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