【株主総会ライブ】ソフトバンク(4)「世界の人々から最も必要とされる企業に」

2012.6.22 12:36

(3)総務省に怒鳴り込み iPhoneもプラチナ対応 に戻る

 《孫正義社長は、経営方針の説明を続ける》

 孫社長「通信設備はデータ通信量の増大に耐える規模、設計に変えていく。コンテンツも強化していく。『モバイルインターネットNo.1』になりたい。そして2016年度には営業利益1兆円を目指す。これは具体的な戦略に基づいた目標で、モバイルがカギとなる。他社の営業利益は6年ほど横ばいだが、今回、一気にKDDIを超えた。今のドコモの営業利益は数年で追い抜く。そしてNTTも抜く。これがわれわれのの成長戦略です」

 《孫社長はさらに、再生可能エネルギーへの取り組みと震災対応について話し始めた》

 「再生可能エネルギーは固定価格買い取り制度が7月1日に始まるので、第1号はこの日から運転開始する。京都と、群馬で始めます。全国で200メガワットを超える発電をする。先進的事例を作るという意気込みで行っています。本業ではありませんので、連結業績への影響は金額的には軽微です。志が大事と思って取り組んでいる。また震災対応では、来月の夏休みに被災地の高校生300人を招いて海外留学を支援する。私の母校のカリフォルニア大バークレー校に招待する。痛ましい事故に対して、ささやかな気持ちで支援をさせていただく」

 《一昨年に掲げた成長ビジョンの進捗にも話は及んだ》

 「私が引退したあと、『新30年ビジョン』が実現する頃には、5000社のグループにするという大風呂敷を広げている。一昨年は前800社。これが2年で960社に増えた。5000社には遠いが、予定しているより早いピッチで進んでいます」

 「ではなぜ情報革命にこだわるか。世界の産業は著しく変わっている。まだ日本の政治家は、『もの作りニッポン』にプライドと将来の基本的戦略をかけているが、私は間違っていると断言する。時代は進展するから。完全に自動車、家電などの機器。工業製品の世界の全部の会社の時価総額を足したものが情報通信業界は2倍になった。大きなトレンドを見誤らないでほしい。情報革命から取り残されると後進国になってしまいます。社会全体が進化さしていかないといけない。知恵と知識の武装をしないといけない。インターネット経済の規模は現在の270兆円からさらに増えていく」

 《次のテーマは『株主価値の最大化』だ》

 「ネットバブルがはじけた直後、この部屋(会場)で年配の女性株主から話があった。『退職金のすべてをソフトバンク株に使った。亡くなった夫のものだったが、株価は10分の1になった。頑張ってほしい』と。株価はネットバブル崩壊で100分の1に減った。非難ごうごうの中、この株主が発言し、私は涙を流した。涙と拍手で頑張れといわれた。このとき多くの株主に対して誓った。必ずいつか我々の株、時価総額を超えてみせると誓った。何としてもそれを実現させたい。新30年ビジョン。株式の時価総額を200兆円にする。ピークの株価を上回るようにしたいという志を語った。上場時は2000億円の時価総額。世界のトップ10になりたい。100年前は鉄の会社が世界のトップ10。30年前はIBMやAT&Tなど。直近ではアップルが世界第1位になっている。最も必要とされる会社が世界のトップ10に入っている。ソフトバンクの経営は株価のためや、利益を上げるためではなく、世界の人々から最も必要とされる企業となりたいためだ。このために創業し経営している。その志を一緒にリスクを取りながら支えてもらっている株主に喜んでもらえるように業績を立派に上げていきたい。配当を増やせ、株価を上げろというのが本音かもしれない。やります。それに向かって経営します」

 《そして孫社長は、先日発表した、世界初の放射線測定機能付きスマートフォンを紹介する》

 「1年前、悲しい出来事がありました。多くの国民が嘆いた。ソフトバンクの本業とはなんぞや、ということで悩んだ。自分の子供の未来を心配する国であってはいけないと思います。本業のささやかな1つの製品として、放射線測定機能のついたスマホを世界で初めて開発し、今日から予約を受け付けます。発売は来月の中旬です。こんな機能のついたスマホがでること自体が嘆かわしいが、我が子を心配する母親の心配、不安を少しでも和らげるためにこういう機能を作ってみた。多くの人々の笑顔がみたい。情報革命で人々を幸せに。これが我々の本業であります」

 《ここで、全世界が情報通信でつながる、とする『情報革命』についてのイメージビデオが流れる。そして孫社長は最後に語りかけた》

 「何としても人々の幸せのために情報革命を続けていきたい。説明に時間がかかりましたが、株主を最も大事にする経営者のウォーレン・バフェットは丸1日かけて総会をやります。以上、今後の経営方針について説明させていただきました」

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