花粉症治療薬で顧客争奪戦 「スイッチOTC」で市場拡大目指す

2013.2.9 08:00

 花粉症シーズンの到来を目前に控え、ドラッグストアなどでは一般用医薬品(市販薬)などの対策商品が出そろった。

 環境省の予測では、今年の花粉飛散量は東日本を中心に前シーズンより多くなる見込みだ。需要の高まりに期待を寄せる製薬各社は、医療用成分を市販薬に転用した「スイッチOTC」を盛んにアピールするなどして、顧客争奪戦を繰り広げている。

 花粉などによるアレルギー症状を和らげる医療用成分「セチリジン塩酸塩」配合のスイッチOTCを今月上旬、鼻炎薬ブランド「コンタック」で知られるグラクソ・スミスクラインと、同「ストナリニ」を展開する佐藤製薬がそろって投入した。

 グラクソは、1日1回の服用で効くという「コンタック鼻炎Z」を発売し、コンタックシリーズのラインアップを5つに拡充した。小児用内服薬や鼻炎スプレーなどとあわせ「ニーズ別の幅広いサポート」(同社)で顧客の囲い込みを図る。

 佐藤製薬は、「ストナリニZ」で花粉症商戦に挑む。品ぞろえを点眼薬を含めて8つに増やした。眠気などの副作用が少なく、就寝前の服用で効果が持続するという。

 一方、大正製薬は昨年11月から、抗アレルギー薬と血管収縮薬を両方配合した点鼻薬「パブロン点鼻クイック」を販売。アレルギーを元から抑えるなど予防的な効き目を持つ「ケトチフェンフマル酸塩」に、血管を収縮させる「ナファゾリン塩酸塩」を組み合わせて鼻づまりへの即効性を高めた。両成分を配合した点鼻薬は日本初という。

 富士経済によると、一般用医薬品の2012年の市場規模は6067億円で、このうち鼻炎薬市場は185億円の見込み。一般用医薬品市場は、健康食品や医薬部外品との競合などで伸び悩んでおり、製薬各社は花粉症治療薬が市場拡大の起爆剤となることを期待している。

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