模倣品分析、新興国攻略のカギ アイシン精機が発想の転換「低コスト化技術の参考に」

2013.3.19 05:00

 日本製品の模倣品対策に政府や企業が力を入れても、機械製品や雑貨、家電など多岐にわたる製品で被害が後を絶たない中、参考になる技術は「アウトロー」に学ぼうという異例の取り組みを進める企業がある。自動車部品大手のアイシン精機は20、21の両日、アジアなどで出回る同社の模倣品を展示する社内勉強会を開催。知的財産面の対策だけでなく、模倣品から安さの秘密などを分析し、自社製品に生かそうという考えだ。

 アイシンの知的財産部は、自社製品の売り上げが一部地域で急減したことを受け、初の本格的な現地調査を昨年実施。クラッチ(動力伝達装置)部品などを扱うバングラデシュの販売代理店では、正規品とともに、正規品より8割程度安い模倣品も売られていることがわかった。

 中国産と思われる模倣品は安価な素材とみられ、耐久性能は正規品の半分程度と推測。アイシンは「発火の危険性もある」と現地で注意喚起している。

 だが反応は鈍い。「8割も安いので、壊れても取り換えれば元が取れると考えるドライバーも多い」という。販売代理店から「正規品をもっと安くしてほしい」との要望も出たほどだ。

 勉強会では同社の模倣品など約20点を展示。格安販売を可能にする製造法や素材などを技術者らが分析する。「模倣品にも思ったより『技術力』がある」との見方もあり、技術畑出身の藤森文雄社長も加わる予定だ。

 同社の模倣品対策は今後も商標権の取得といった知的財産の保護が主眼だが、それだけでは価格の安さが優先される新興国では対応できない。知的財産部の佐藤広幸部長は「学べるものは学び、低コスト化技術の参考にしたい」と、発想の転換の重要性を強調している。

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