歩きスマホ「他人事ではない」 ドコモ、駅や学校でマナー啓発

2013.8.15 18:20

 スマートフォンの普及にともない、歩きながらスマホを操作する「歩きスマホ」による事故やトラブルが増えている。駅や公共の場でもトラブルに発展するケースもあり、鉄道各社がポスターや構内放送で注意を呼びかける一方、通信キャリアのNTTドコモもJR新宿駅の階段に大きなマナー公告を出して危険性を訴えている。ドコモの担当者は、「歩きスマホによるトラブルは決して他人事ではなく、自分にも起こりうると気づいてほしい」と警鐘を鳴らしている。

 JR四ツ谷駅(東京都新宿区)で5月27日午後、携帯電話を操作しながらホームを歩いていた小学5年の男児が誤って線路脇に転落し、けがをする事故が起きた。国土交通省によると、携帯やスマホなどを使っていた乗客がホームから転落した事故は平成22年度に全国で11件発生、23年度には18件に増えている。

 新聞広告やラジオCMで「歩きスマホ」の危険性を訴え、啓発活動に力を入れてきたドコモは、今月5日から18日まで2週間にわたりJR新宿駅の東口付近の階段自体に巨大な「歩きスマホ」のマナー広告を出している。階段に「危険です、歩きスマホ。(本人は、この広告見ないだろうけど)」というメッセージとともに、階段の両側の壁には「この広告には気づかなくても、みんなの冷たい視線には気づいてほしい」と書かれている。

 ドコモやKDDI、ソフトバンクの携帯大手3社は、利用者に携帯電話を安心・安全に使用してもらうための活動を行っている。ドコモでは全国の小、中、高校生や保護者などを対象に、学校に講師を派遣してマナーやトラブルへの対処方法などを啓発する出張型の「ケータイ安全教室」を実施。メールやネットの危険性とともに、「歩きスマホ」の注意喚起を促している。「ケータイ安全教室」で講師を務めるドコモ・サービスの佐藤由紀子さんは「歩きスマホは自分がけがをするだけでなく、人にけがをさせてしまう場合もある。人に迷惑をかけないように正しい使い方を身につけてほしい」と話す。

 ドコモの社会環境推進部担当課長、鈴木洋さんは「従来型の携帯電話は通話とメールぐらいだったが、スマホはアプリやゲーム、動画の再生など画面にくぎ付けになる機会が多くなった」と指摘。「積極的に注意喚起し、トラブルを未然に防ぐ努力をすることが通信キャリアとしての使命だ」と語っている。

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