セブン-イレブンの鈴木敏文会長「壁を破り続けた40年だった」

2013.11.21 06:10

 --創業40周年を迎えた

 「大型店と小型店の共存を模索していた際に、米国で目にしたのがコンビニ。大型店が伸びている時代に小型店が成功するわけがないというのが当時の業界の見方で、“隙間産業”呼ばわりもされたが、壁を破り続けた40年だった」

 --おにぎり販売や銀行ATM(現金自動預払機)設置には反対意見も多かった

 「おにぎりは『家庭で作るから売れない』といわれ、ATMも銀行の頭取から『もうからないよ』といわれた。でも、銀行は午後3時に閉まるし、浴衣にげた履きでは行けない場所。一方、24時間営業のコンビニなら行きやすいし、便利だ。だから必ずうまくいくと思った」

 --発案のたびに反対されたのに、なぜ成功すると

 「多くの人は経験の延長で物事を判断するから、新しいことに反対する。しかし、世の中も人も変化している。プライベートブランドも『安くなければ』と決めてかかっていたが、一人暮らしで一定の収入がある人は良いものが欲しいはず。だから『金の食パン』を発売した。変化こそチャンスということだ」

 --物流やマーケティングでも新機軸が多かった

 「コンビニは発注規模が2、3個だから、個別に発注したら割に合わない。それでPOSシステムを導入したが、当時のメーカー商品にはバーコードがなく、個別に対応をお願いした。流通の近代化のほとんどはセブンが担ってきた」

 --次なる一手は

 「ネットとリアル(店舗)を融合させる(ことで顧客に最も合う販路を生かして商品を提供する)オムニチャネル化を進め、ネットで購入した洋服を最寄りのセブン-イレブンの店舗で受け取ったり、店から自宅まで配達する。気に入らない商品を包装して送り返すのは面倒だが、セブンで受け取れば、そのまま返すことだってできる」

 --今後の出店戦略は

 「2014年度には1600店を出店する計画で、既存エリアだけでなく、未出店地域へも出す。10分歩いてもコンビニがないという人が今もいるし、一人暮らしの高齢者が多くなれば食材を宅配してほしい人も増える。だから店舗はなるべく消費者の近くにありたい」

 --10年後のイメージは

 「世の中がどう変化するのかも分からないから、イメージは沸かないが、変化に対応するための挑戦は続けているだろう」

【プロフィル】鈴木敏文

 すずき・としふみ 中大経卒。東京出版販売(現トーハン)を経て、1963年イトーヨーカ堂入社。セブン-イレブン・ジャパン社長、イトーヨーカ堂社長を経て、2005年9月からセブン&アイ・ホールディングス会長。80歳。長野県出身。

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