2014.1.8 05:00
改革開放路線をひた走るミャンマーへ、日本企業の進出ラッシュが続く。低廉な労働コストを活用したアパレル産業のような労働集約型を想像しがちだが、IT産業の人材も高く評価されている。eコマース(電子商取引)システム開発のスターフィールド、星野翔太社長は「ITスキルが高く、日本人とメンタリティーが近く仕事がしやすい」と話す。
--主な事業は
「ネットショップのサイト制作が主力。初期費用、月額費用ともに無料ででき、それぞれに合わせたカスタマイズまで無料にしている。広告を出したり、キャンペーンのためのサイト更新も顧客が簡単にできるため、利便性は非常に高い」
--収益の柱は
「クレジットカードの決済手数料が、売り上げの半分を占める。手数料は通常5%ほどだが、当社は4%以下という低廉さで、eコマース業者にとってコストパフォーマンスが良い」
--高品質低価格の秘密は
「人件費が安くて優秀なIT人材が豊富なミャンマーで制作しているからだ。日本ではIT産業は、長時間低賃金の3K(きつい、汚い、危険)職場のように思われている。求人難で海外に目を向けた」
--なぜミャンマーなのか
「同じアジアの仏教国であり、生活習慣や風習が似ていて、コミュニケーションも取りやすいだろうとタイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマーを候補地と考えた。タイとベトナムは発展に伴って人件費が高騰し、人員確保が困難だと分かった。日本に留学しているミャンマー人のIT専門学校生を雇い、接しているうちにミャンマー進出を考えるようになった」
--現地に進出してどうか
「2013年6月に現地法人を設立した。実はミャンマーには国立コンピューター大学があり、日本人より優秀な技能を持っている人も少なくない。しかも10人採用のところに80人が応募する買い手市場だ。人件費も安く、日本で100万円かかるアプリケーションの制作費が10万円でもできる。現地では、eコマースのシステム開発や運用、メンテナンスをしている」
--今後の展開は
「現時点で当社の顧客は50社だが、制作能力を強化して、2014年は100社へと倍増させることを目標としている。ミャンマーの制作拠点は今後3年ぐらいで、40~50人にまで規模を拡大する。また、3年以内に台湾と香港に営業所を立ち上げ、市場として有望なアジアへの、販売とサービスの拠点とする。日本企業の99.7%が中小で、就業者は約7割を占める。ITを活用して中小企業に積極的に海外に進出してもらいたい」(佐竹一秀)
◇
【プロフィル】星野翔太
ほしの・しょうた 早大第二文学部中退。フリーのプログラマーとして活動後、在学中の2007年8月スターフィールドを設立し、社長に就任。28歳。東京都出身。
◇
【会社概要】スターフィールド
▽本社=東京都新宿区高田馬場1-25-32 108ビル3階
▽設立=2007年8月
▽資本金=1000万円
▽従業員数=10人
▽事業内容=eコマースシステムの開発・販売、eコマースサイトの企画・制作・運用、サーバー運用