大型高級ホテル、相次ぎ都心開業 五輪開催に商機、景気回復も追い風に

2014.6.10 06:02

 2020年東京五輪開催に伴う観光客の増加を狙い、外資系を含む大型高級ホテルの新規開業や再開発が都心で本格化してきた。国内景気が緩やかに回復し、企業業績や個人消費が上向いていることも追い風となっている。

 米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションが運営し、日本初進出となる「アンダーズ東京」は9日、報道陣向けの内覧会を行った。アンダーズ東京は、11日開業の超高層複合ビル「虎ノ門ヒルズ」(東京都港区)の47~52階で営業する。スイートルーム8室を含む164室を擁し、全室から東京の眺望を見渡せるのがセールスポイントの一つ。ホテルにあるチェックインカウンターを置かないことで、自宅のようなくつろぎ感を提供するなど、海外のビジネスパーソンや富裕層の滞在を強く意識している。

 米ハイアットは「パークハイアット」や「グランドハイアット」など9ブランドを世界各地で展開、日本ではアンダーズの開業で4ブランドがそろう。来日したマーク・ホプラメジアン社長兼最高経営責任者(CEO)は9日、「将来は全9ブランドを日本で展開したい」との意向を示した。

 その理由をホプラメジアン氏は、東京における五つ星級以上の高級ホテルが「人口数などとの比較において、他の海外主要都市より少なく、かなりの開発余地がある」と説明する。

 訪日外国人は宿泊先として、国際的に知名度の高いホテルを選ぶ傾向もあり、東京五輪は外資系チェーンにとっては商機。初上陸ではアンダーズに続き、シンガポールに本拠を置く世界的な高級ホテルグループ、アマンリゾーツによるアマン東京が年内に東京・大手町に進出する。

 一方、日本勢は、国内の高級ホテル「御三家」の一角を占めるホテルオークラ東京が本館の建て替えを発表。築52年がたち、老朽化が課題となっていたもので、約1000億円を投じて巻き返しを図る。旧赤坂プリンスホテル(グランドプリンスホテル赤坂)跡地でも再開発計画が進行中で、プリンスホテル運営による新たな高級ホテルが誕生する。星野リゾート(長野県軽井沢町)は、東京・大手町に進出する和風リゾート「星のや東京」に天然温泉を完備し、都心の温泉旅館をアピールする。

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