ソニー社長陳謝「変化への対応力不足」 株主から批判相次ぐ

2014.6.20 06:09

 ソニーは19日、株主総会を東京都内のホテルで開いた。平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は業績不振を陳謝するとともに、電機部門の黒字化など構造改革をやり遂げる考えを訴え、“ソニー復活”に向けた強い思いをアピールした。ただ、業績の下方修正や公約の不履行を繰り返す経営陣に株主の不満は高まっており、平井社長の経営責任を問う声が相次いだ。

 「自由闊達(かったつ)な社風を取り戻し、画期的な商品を生み出せる会社にしたい」。総会で平井社長は、ソニー製テープレコーダーを前に父親と一緒に写る子供時代の写真を披露し、自らの熱い思いを伝えようとした。

 1283億円の最終赤字を出した2014年3月期連結決算で、テレビ事業は10期連続の営業赤字となり、公約に掲げた電機部門の再建は果たせなかった。15年3月期も2期連続の最終赤字となる見通し。円安やリストラの効果で電機大手各社の業績が回復する中、「独り負け」が鮮明になっている。

 平井社長は「変化への対応力が不足し、手を打つのが遅れた」と釈明。15年3月期はコスト削減などの構造改革を断行するとともに、テレビやスマートフォン(高機能携帯電話)などの収益を伸ばして電機部門の黒字化を実現すると約束した。

 質疑応答では「あなたに経営を任せてソニーが変わるのか、安心感を持てない」と株主から厳しい声も上がり、平井社長は「重く受け止める。構造改革をやりきり、来年から成長軌道に持っていく」と応じる場面も。

 総会後、取材に応じた株主からは経営陣を批判する声が相次いだ。男性会社員(52)は「今期、電機部門の黒字転換ができなかったら平井さんは退任すべきだ」と話し、無職の男性(71)は「昔のソニーは画期的な製品を作っていた。(創業者の)井深大さんや盛田昭夫さんが天国で泣いている」と奮起を促した。

 総会ではジョン・ルース前駐日米大使ら取締役の選任など2議案を賛成多数で可決。お土産をなくした影響からか、出席した株主は昨年(1万693人)の半分に満たない4662人だった。

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