「小容量サイズ」品ぞろえ拡充 少人数世帯や高齢者ニーズに対応

2014.7.12 07:03

 加工食品や調味料などのメーカーが、鮮度が落ちる前に使い切れる「小容量サイズ」の品ぞろえを増やしている。総務省の統計によると、国内の全世帯のうち約半数を単身者と2人暮らしが占めているうえ、高齢化が進むと食卓に並ぶおかずの量が少なくなっているのが現状。社会環境の変化に応じるとともに、気軽に「試し買い」ができたり、かさばらないことから購入後の手持ちの負担を抑えるメリットを訴え、需要の掘り起こしを図る考えだ。

 日清オイリオグループは、スーパーが秋商品に入れ替える9月頃から、「これこれ!小サイズ」と名付けた小容量の食用油シリーズを展開する。キャノーラ油は200グラム(想定小売価格320円前後)、オリーブ油やごま香油は50グラム(150~170円前後)と、従来商品の最小サイズと比べ3分の1から5分の1に抑える。

 同社は「食用油をおいしく使い切るための目安は開封後1~2カ月」と推奨しているが、単身世帯について調べたところ、平均消費期間は4カ月余りだった。長めとなっている使用実態に合わせて分量を減らすと同時に、「食卓で料理に食用油をかけて味わうといった手軽な用途も広げたい」と狙う。

 容量を減らしながらも付加価値を高め、新たな商品として売り出すことで成功した例もある。森永乳業が4月に発売した乳飲料「プレミル カラダ美しく」は通常サイズの牛乳より約3割少ない720ミリリットルだが、ビフィズス菌や食物繊維を加えることで消費者に健康志向を訴求。税別の希望小売価格は230円と割高だが「徐々に浸透し、定番品より売れているスーパーも出てきた」という。

 小売り側がメーカーに小容量化を働きかける例も目立つ。コンビニエンスストア大手のセブン-イレブン・ジャパンは、カンロやUHA味覚糖など3社と連携し、袋入りキャンディーの内容量を半分にした限定商品を売り出した。ファミリーマートはオフィス街などの店舗で「食べきりサイズ」専用コーナーを設け、不二家のクッキー「カントリーマアム」の1枚入り(54円)などを展開している。さまざまな味を少しずつ楽しめることから、働く女性の職場でのおやつ用などとして売れ行きは好調という。

 コンビニ各社はプライベートブランド(自主企画、PB)商品の拡充を進めており、陳列スペースの争奪戦は激しさを増している。そのため、メーカー側が店に並べやすい小さいサイズ商品を提案し、販路を確保する動きも強まりそうだ。

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