トヨタ系部品メーカー、タイで生産拡大 新工場や能力増強で反転攻勢

2014.10.11 06:49

 トヨタ自動車のタイ増産をにらみ、トヨタ系自動車部品メーカーが2015年度までに現地で相次ぎ生産能力を拡大することが10日、分かった。トヨタはタイの政情不安を踏まえ、14年の販売見通しを下方修正したが、市場の混乱が落ち着くのを見計らい反転攻勢に出るのは確実で、東南アジア最大の自動車市場が再び活気付きそうだ。

 自動車用ボルトを製造するメイドー(愛知県豊田市)は15年4月にタイで初めての自社工場を稼働させる。投資額は約10億円。現地従業員を約60人採用しトヨタや日系部品メーカーなどから受注して月60トンの生産を計画する。

 同社担当者は「政変のリスクはあってもタイ市場は今後、伸びる。トヨタの東南アジア戦略の統括拠点であり、現地に出なければ情報もとれない」と説明する。

 摩擦材など化学系部品を製造するアイシン化工(同)は15年3月までに、タイでディスクブレーキパッドの生産能力を現行比14%増の月80万個に増強。アイシン・エーアイ(同西尾市)は15年夏までに、手動変速機の生産能力を現状より約2割増やす。愛知製鋼も15年度までに、自動車用鍛造品の生産能力を13年度比で約2倍まで拡大する計画だ。

 タイでは軍事クーデター後の政情不安に加え、自動車の初回購入支援制度の終了による反動減も重なって新車販売が低迷。14年は東南アジア最大市場の座をインドネシアに明け渡す見通しだ。トヨタは7月、当初は115万台としていた14年のタイの需要見通しを92万台に引き下げ、これに伴い自社の販売計画も40万台から33万台に下方修正した。

 ただ、トヨタにとってタイは日米中に次ぐ4番目の生産拠点であり、東南アジアやオセアニア、中南米へ完成車を輸出する橋頭堡(きょうとうほ)でもある。現在の生産能力は75万台だが、将来的には100万台の水準まで引き上げる方針を掲げている。

 トヨタ担当者は「足元は落ち込んでいるが、タイが東南アジアの最重要市場であることに変わりはない」と強調。販売台数が下方修正前の40万台レベルへすぐ回復できるかどうかは予断を許さないものの、「来年以降は徐々に通常に戻したい」としており、タイでの生産が再び活気を帯びそうだ。

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