大手電力が相次ぎ「小水力発電」を稼働、再生エネ拡大の切り札に

2014.11.22 23:31

 東京電力や関西電力など大手電力が、出力1千キロワット未満の規模の小さな「小水力発電」を相次ぎ稼働させている。新規のダム建設には大きな環境負荷がかかるが、小水力は既存ダムの放流水などを活用して再生可能エネルギーの拡大につなげられる。政府も再生エネの固定価格買い取り制度の見直しで、常時一定の出力が得られる小水力を価格面で優遇する方向で検討。官民あげて小水力の積極活用に動きだした。

 小水力は、河川の環境維持のために既存のダムから放流している水などを活用して発電する。ダム下流の水量が減ると生態系などに影響を与えるため、ダムは一定量を河川に放水している。このほか工業用水など既存設備を使うため、投資金額が比較的少ない。出力は大規模な水力発電に比べて数百分の1程度にすぎないが、建設にあたっての環境負荷は小さい。

 東電子会社の東京発電(東京都台東区)は今春、さいたま市水道局(埼玉県)の設備を活用した小水力発電所2基(合計出力127キロワット)の運転を開始した。各家庭に配水するため一時的に貯水している設備に水車を設置し発電する。

 発電した電力は固定価格買い取り制度を活用して東電などに売電。発電量は合計で年約90万キロワット時と、一般家庭約270世帯の電力をまかなえる。

 また、関電は富山県黒部市で既存ダムの放流水を活用した「出し平発電所」(出力540キロワット)を建設しており、平成27年12月の完成を予定する。

 このほか、北陸電力は富山県朝日町でダムの放流水を活用した「北又ダム発電所」(出力130キロワット)の営業運転を今月14日から開始した。電源開発(Jパワー)は福井県大野市でダムに流れ込む水路を活用する「このき谷発電所」(出力199キロワット)を建設中だ。28年5月の運転開始を目指している。

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