「携帯2年縛り」見直し求める方針 総務省、料金高止まりの状況を問題視

2015.7.16 06:45

 総務省は、携帯電話会社が高額の解約金を課すことで利用者を囲い込む「2年縛り」と呼ばれる契約形態に関し、見直しを求める方針を固めた。同省の有識者会議が16日に提言をまとめる。同省は「契約先を変えにくい」という利用者の不満や、大手3社の寡占で料金が高止まりしている状況を問題視しており、各社の対応が進まない場合は是正をより強く求めるガイドラインの策定も検討する。

 有識者会議は5月以降、通信事業者の意見聴取などを行ってきた。すでにNTTドコモは年度内に契約体系を改定する方向で検討。月額料金を3000円台に引き上げる代わりに解約金が安いプランや、利用期間が長いほど解約料が安くなる仕組みなどを導入するとみられる。

 2年縛りが緩和されれば、MVNO(仮想移動体通信事業者)への乗り換えがしやすくするなど、事業者間のサービス競争の活発化が期待される。

 大手3社の基本料金は現在、月額2700円で2年以内の解約に9500円を課すプランと、解約自由で同4200円のプラン(いずれも税別、通話し放題の場合)が主流。解約金は「初期費用の回収や中途解約による逸失利益を補うために必要」(大手)というのが各社の言い分だ。

 一方、有識者会議は、最初の2年が経過した後も2年単位の契約が続くことや、解約までの期間の長短にかかわらず一律の解約金を課していることなど、問題点は多いと指摘する。

 このため提言では、利用者を2年以上拘束しないよう定めた欧州連合(EU)のルールなどを例に挙げ、より解約しやすい契約内容とするよう事業者側の取り組みを求める。また、対応が鈍い場合はガイドラインでの規制を検討するよう総務省に求める。

 同省は「契約の形は経営の根幹部分であり、規制するより自主的な改善を期待したい」(幹部)との姿勢だ。

 ただ、5年前に携帯電話を別会社の回線で利用できないよう機能制限している「SIMロック」解除への対応を業界に促した際はドコモ以外が動かなかったため、改めて義務化した経緯もある。2年縛りに関しても「同様の考え」(同)で臨むとしており、大手各社がどう対応するか注目される。

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