日本公庫、ミャンマー金融へ技術協力強化 中小向け融資審査高度化

2016.1.4 06:07

 日本政策金融公庫は、ミャンマーの金融機関を対象にした技術協力態勢を強化する。中小企業向けの融資審査方法の高度化につなげることが目的で、セミナーなどを実施し、決算書の分析手法などを詳しく教えるほか、創業支援のノウハウを伝授することも検討している。急速な経済発展が続くミャンマーでは、企業の資金調達が課題。一連の取り組みを通じ経済発展を後押しするとともに、日本の中小企業が進出しやすい環境を構築する。

 技術協力は、財務総合政策研究所(財務総研)によるODA(政府開発援助)事業の一環。ベトナムとマレーシア、ラオスに次いで4カ国目で、既に首都ネピドーとヤンゴンでセミナーを実施した。

 ミャンマーの金融機関は東南アジア諸国と同様、融資審査ノウハウが不足し、担保に依存した融資を行っている。その結果、成長力のある中小企業に十分な資金を供給できていないのが現状だ。

 こうした問題を改善するのが技術協力の目的で、これまでに基本的な審査法に関する講義を実施。企業実態をしっかりと把握すれば、赤字企業であっても融資ができることをミャンマー経済銀行などの職員に向けて説明した。

 今回のプログラムは2016年度にかけて行うもので、後半の第3、4回セミナーはミャンマーと日本で行う。具体的にはより実務的な内容とし、ケーススタディーとして企業の決算書を取り上げ、データ分析を踏まえた上で融資審査につなげるといった手法を学ぶ。

 また、ミャンマーからの要請があった場合、創業支援のあり方に関するプログラムを組む方針だ。

 ミャンマーでは開業して3年間は新規融資が受けられず、親類や周辺から調達するケースが一般的。しかし現地では今後、インフラ投資の活発化に加えてASEAN経済共同体の発足に伴い、ベンチャー企業が台頭する可能性が大きい。日本公庫による創業融資実績は高水準で推移しているだけに、創業支援に関する一連のノウハウの提供も視野に入れていく。

 先月にはミャンマー初の証券取引所、ヤンゴン証券取引所(YSX)が開設。取引システムの導入からルール作りまで日本取引所グループなどの日本勢が全面支援した。企業の資金調達ニーズは今後も高まるとみられ、日系金融機関による支援態勢は一段と強まりそうだ。

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