【講師のホンネ】気の抜けないホテル探し 大谷由里子

2016.1.6 05:00

 インバウンドにより、外国から多くの人が日本に来ている。日本政府観光局(JNTO)によれば、2014年の訪日外客数は、1300万人。15年は、速報値で2000万人に迫る勢いとなっている。ありがたいことだけれど、講師の仕事をしている人にとっては困ったこともある。その一つがホテル探し。東京や大阪のホテルだけでなく、地方のホテルも日によっては満室で予約ができない。日本国内の祝日や連休は、事前に予測して早めにホテルの予約をしているが、中国や台湾の祝日・大型連休を考慮に入れている人は少ない。

 15年は、この傾向が顕著だった。わたし自身も数回、ホテル難民になりそうになった。あきらめて高級ホテルに泊まったり、キャンセル待ちをしたり、少し離れた場所を見つけてなんとかしのいできた。ところが、仲間の中には、どうやってもホテルが取れなかった人もいる。ある講師は、「頼み込んで、弟のところに泊めてもらったけれど、仕事はできないし、弟の嫁さんにも気を使うし、まったく休まらなかった」という。

 そして、時期によってホテルの値段は高騰する。「ビジネスホテルなのに、こんなに高い値段!」と思うこともよくある。会社の出張で動く人など、あらかじめ宿泊の予算が決められている場合、悩みは尽きない。「予算は1万円。予約できるホテルは、どこも1万円以上。差額を支払うか、サウナに泊まるかの選択ですよ」と、話してくれた人もいる。

 ある友人は、ビジネスホテルが取れず、高級ホテルは予算が合わない。そんな時に限って、カプセルホテルは満室。しかたなくサウナに泊まることにしたが、そのサウナは大勢の人でごった返していて、廊下の片隅で寝ることに。「完全にホテル難民ですよ」と、笑っていた。わたしは、イライラの種を発芽させないように、できるだけ隙間時間を使ってホテルの予約を楽しむことにしている。

 それでも、早めにホテルを取って安心していると、日にちが近づいても部屋が埋まらず、超割安なプランが出てくることもある。一方、まったくホテルが取れないと思っていると、数日前にどっと空きが出ることもある。16年も、イライラせずに、ホテル探しを楽しみに変える工夫をしたい。

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【プロフィル】大谷由里子

 おおたに・ゆりこ 奈良県生まれ。1985年吉本興業入社。横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりらを売り出し注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾(しえんじゅく)を設立。「笑い」を用いた人材育成法は、NHKスペシャルなど多くのメディアで取り上げられ話題となっている。現在、法政大学大学院・政策創造研究科に在学中。

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