ビール大手、酒税一本化見据えブランド強化 3社は強気の計画打ち出す

2016.1.9 07:05

 キリンビールなどビール大手4社の2016年ビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)販売計画が8日、出そろった。全社が市場規模の縮小を見込むものの、キリンビールを除く3社が前年実績を上回る強気の計画だ。発泡酒や第3のビールが市場で飽和状態となる中で、各社は、将来的に酒税の引き下げが見込まれるビールの販売強化を柱とする戦略を打ち出している。

 8日にビール類の販売計画を発表したキリンビールは、0.9%減の1億4060万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と大手4社の中で唯一のマイナスを予想した。同日、都内で会見した布施孝之社長は「計画は必達目標で、さらに上を目指す」と話した。

 全国47都道府県ごとに味わいが異なる地域限定のビール「47都道府県の一番搾り」を5月から順次発売する。また、個性的な味わいのクラフトビール(地ビール)なども強化し、「今年はV字回復を本物にする一年にする」(布施社長)と意欲を示した。

 業界最大手のアサヒビールは、3月23日に「アサヒ ザ・ドリーム」を発売する。麦芽使用量を増やしたり、独自の製法で、コクとキレを両立したという。新商品を需要喚起の起爆剤にしたい考えだ。

 サントリービールは、高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」シリーズに新商品「同〈香るエール〉」を設定する。また、昨年9月に投入した普及価格帯のビール「ザ・モルツ」は販売促進活動を強化し、730万ケースの販売を目指す。

 サッポロビールは昨年の販売数量が21年ぶりに前年比プラスに転じた主力ビール「黒ラベル」に使用する麦芽を変更したり、派生商品を投入する予定だ。また、高級ビール「エビス」の関連商品を充実させ、今年のビールの販売は5.2%増を見込む。

 ■ビール大手4社の2016年ビール類の販売計画

 アサヒビール   1億6150万ケース( 0.4)

 キリンビール   1億4060万ケース(▲0.9)

 サントリービール   6765万ケース( 1.7)

 サッポロビール    5140万ケース( 3.2)

 ※%。カッコ内は前年比増減率。▲はマイナス。1ケースは大瓶20本換算

閉じる