【2016 成長への展望】日立建機社長・辻本雄一さん(62)

2016.1.14 05:00

 ■構造改革で営業利益率2桁は堅持へ

 --建設機械需要が大きく落ち込んでいる

 「厳しいの一言だ。鉱山機械や一般建機は非常に厳しい。2015年度の鉱山機械の見通しは、対前年度比10%減、一昨年が40%減で、まだまだ底を打っていない。一般建機は、主力の油圧ショベルの需要が、一番落ち込んだリーマン・ショック後の09年度を下回り、対前年度比19%減の見通しだ。特に、中国が対前年度比50%減の見通しで、全体の足を引っ張っている」

 --今年の中国市場の見通しは

 「厳しいとみている。2月の春節明けの需要に注目している。その動向次第で、回復するか、もっと下がるか、底ばいになるか見えてくる。中国政府の景気刺激策を期待しているが、過去に実行されなかった例もあり、あてにしづらい面がある」

 --需要が低迷する中で、今後の対応策は

 「昨年から早期退職制度を実施したが、今は追加の人員削減は考えていない。あとは原価低減を継続する。コスト改善は強化する必要がある。国内外の生産体制も見直していく。長い目で見ると、建機需要は必ず回復する。そのときに備えて、スリムな体質にする」

 --16年度が中期経営計画の最終年度となるが、需要減で目標達成が厳しい状況だ

 「売上高9000億~1兆1000億円、営業利益率13~16%の達成は難しい。ただ、需要が変わっても営業利益率2桁を出せるようにしたい。次の中期経営計画も、需要が戻らない前提で策定する」

 --中長期の経営目標は

 「売上高1兆円は達成させたい。当社がまだ弱いホイールローダーやミニショベル、ダンプトラックはシェアを引き上げる余地がある。部品・サービスの収益も増やし、積み上げたい。また、現在の市場シェアは3位グループの筆頭だが、将来的にはここを抜け出し、上位の米キャタピラーやコマツのグループに食い込めるようにしたい」

 --コマツが、ITや小型無人機「ドローン」を活用し、建設現場の作業効率を上げる「スマートコンストラクション(スマコン)」を強化しているが

 「当社も3次元データを読み込み、センサーを使って自動施工する油圧ショベルを開発している。大規模工事だけでなく、小規模工事でも使えるようにしたい。また、日立グループと連携し、ビッグデータを使って、顧客の課題を一緒に解決する付加価値の高い建機やサービスをさらに開発していきたい」

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【プロフィル】辻本雄一

 つじもと・ゆういち 阪大院修了。1979年日立建機入社。2000年日立建機(中国)有限公司董事総経理、07年理事、09年執行役、11年取締役兼執行役常務を経て12年4月から現職。大阪府出身。

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