トヨタ、来年にもリハビリ用ロボ実用化 中核事業に育成へ

2016.1.19 02:00

 トヨタ自動車は18日、下肢まひの患者らの歩行練習などを助けるリハビリ用ロボットを、平成29年をめどに実用化する方針を明らかにした。トヨタは高齢者らの移動を支援するロボットなどを開発しているが、実用化は第1弾となる見込み。リハビリ用を皮切りに実用化を進め、ロボットを中核事業のひとつに育成する。

 実用化を目指すのは「歩行練習アシスト」「バランス練習アシスト」。トヨタが技術開発で培った高精度モーターやセンサーを活用し、脚部をつり上げることなどでリハビリの負担を軽減。自立歩行が困難な患者でも、自然な歩き方を回復するよう支援する。

 23年に実証実験を始め、26年には臨床研究モデルを開発して病院などに提供している。医療機器の有効性や安全性を審査する医薬品医療機器総合機構(PMDA)とも協議しており、承認が得られ次第、国内で市販に移行する考えだ。

 トヨタは昭和50年代後半から生産工場で自動車の溶接や塗装などに使う産業用ロボットの開発を始めた。平成12年からは移動や生活に役立つ「パートナーロボット」として、高齢者らの移動を助ける立ち乗り型の「ウィングレット」や、障害者の代わりにものを運ぶ生活支援ロボットなどを開発している。

 トヨタは32年(2020年)開催の東京オリンピック・パラリンピックでの活用も視野に、ウィングレットや生活支援ロボットも市販化を目指す。将来的には自動車に続く中核事業として育てたい考えだ。

 自動車メーカーでは、ホンダが昨年11月にヒト型ロボット「アシモ」の開発で培った技術を活用した歩行訓練機「歩行アシスト」のリース販売を開始。政府は32年に国内ロボット市場(工作機械除く)を現状の4倍の2兆4千億円に拡大する方針を示しており、各社の開発競争が加速しそうだ。

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