帝人、航空機向け炭素繊維拡充 新契約締結、米で製造ライン再稼働

2016.1.27 06:52

 帝人は26日、鉄より軽くて強度が高い炭素繊維について、航空機部品用に新たな供給契約を結んだと発表した。米UTCエアロスペースシステムズ(UTAS)との契約を更新し、航空機用ブレーキの材料として2030年まで納める。更新に伴い、米国で休止していた製造ラインを再稼働させる。航空機の機体やゴルフクラブのシャフト、自動車の他にも炭素繊維の用途が広がる中、大手メーカーの増産対応も目立っている。

 炭素繊維は、「プリカーサ」と呼ぶ特殊なアクリル繊維を酸化させた後、無酸素状態に置いて1000~2000度で焼いて作る。帝人は、子会社で炭素繊維の開発・製造を行う東邦テナックス(東京都千代田区)を通じ、酸化の過程で製造された「耐炎繊維」と呼ぶ繊維を納める。

 UTAS向けには07年から供給し、25年まで契約期間が残っていたが、今回の更新で、15年以降の供給量を倍増させ、供給期間も30年まで延長する。15年から30年までの受注金額は200億円以上になるという。

 契約更新を受けて、東邦テナックスは米国子会社で休止していた製造ラインのうち1ラインを3月から再稼働させる。

 炭素繊維は東レ、帝人、三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱レイヨンで世界シェアの約6割を占める。

 東レは米サウスカロライナ州で17年から新工場を順次稼働させ、航空機向けの需要拡大に対応。また、自動車への採用拡大を視野に、14年に買収した米ゾルテックのメキシコ工場を4月に増強する。一方、三菱レイヨンは米カリフォルニア州の工場で、シェールガスなどを納める圧力容器向けの製造ラインを17年に新設し、生産能力を倍増させる計画だ。

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