自動車大手5社営業最高益 15年4~12月期 北米や中国好調

2016.2.11 06:33

 自動車大手7社の2015年4~12月期連結決算が10日、出そろった。本業のもうけを示す営業利益は、ホンダ、日産自動車を除く5社が4~12月期として過去最高を更新した。北米や中国の販売好調に加え、円安効果が好業績につながった。だが、原油安などで資源国の市場環境が悪化しているほか、タカタの欠陥エアバッグのリコール費用拡大が利益を圧迫。足元では各社の想定レートを上回る円高が進み、今後の業績への懸念材料となっている。

 日産が10日発表した連結決算は、営業利益が前年同期比40.6%増の5875億円と大幅に伸びた。米国販売が8.3%増の111万7000台と過去最高を記録したうえ、スポーツ用多目的車(SUV)「ローグ(日本名エクストレイル)」など利幅の厚い車種が増えて業績を牽引(けんいん)した。

 14年3月期に中国の合弁会社を持分法適用会社にした影響で営業利益は過去最高に届かなかったが、売上高、経常利益、最終利益が4~12月期では最高となった。田川丈二常務執行役員は記者会見で、「好調な北米と西ヨーロッパが、不安定な為替と新興国市場の低迷を補った」と語った。

 米国に加え、中国市場の回復も好業績を支えた。マツダは中国販売が13%増と2桁の伸びを記録。昨夏は市場が冷え込んだが、中国政府が昨年10月に実施した小型車減税で「マツダ3(同アクセラ)の販売などに好影響をもたらしている」(青山裕大執行役員)

 一方、原油や鉄鉱石の価格低迷によってカナダやオーストラリアなどの不振が業績の重しになっている。マツダはオーストラリアなどの通貨安で輸出採算が悪化し、為替変動の影響が営業利益を275億円下押しした。ホンダは米国や中国の自動車販売が好調だが、ブラジルの二輪車が低迷するなどして16年3月期連結業績予想の売上高を500億円下方修正した。「自動車に加え、底辺を支える二輪車市場も影響がでてきた」(岩村哲夫副社長)。

 リコール費用の拡大も足かせだ。昨年12月に米国でタカタ製エアバッグの異常破裂で新たに死者が確認され、1月に各社は追加リコールを迫られた。ホンダは新たなリコール費用の発生など販管費の増加が利益を圧縮して営業減益に陥った。竹内弘平取締役は「売り上げ増やコスト削減などの効果を全て取り崩した」と嘆く。

 16年3月期は三菱自動車を除く6社が営業増益を見込む。ただ、円高傾向が進み、これまで業績を押し上げてきた円安効果がなくなる恐れがある。トヨタ自動車やホンダ、富士重工業などは16年1~3月期の想定レートを1ドル=115円と慎重に設定しているが、金融市場の混乱が続けば各社の業績に影を落としかねない。(会田聡)

 ■自動車大手7社の2015年4~12月期連結決算

 (売上高/営業利益/最終利益)

 トヨタ 21兆4313(6.5)/2兆3056(9.0)/1兆8860(9.2)

 ホンダ 10兆9432(11.3)/5672(▲3.0)/4379(2.4)

 日産 8兆9430(10.6)/5875(40.6)/4528(33.7)

 マツダ 2兆5477(16.1)/1733(14.1)/1234(▲6.1)

 富士重 2兆4186(17.4)/4357(40.5)/3377(77.5)

 スズキ 2兆3555(9.9)/1462(8.2)/1022(28.0)

 三菱自 1兆6619(4.6)/1020(1.2)/767(▲22.2)

 ※単位:億円。カッコ内は前年同期比増減率%。▲はマイナス。トヨタはダイハツ工業と日野自動車を含む

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