【ハザードマップ】レノバサイエンス、日ノ本合成樹脂製作所

2016.2.11 05:00

 ■特殊分野で資金繰り苦戦、競争力低下

 ▼レノバサイエンス 理化学研究機器を販売するレノバサイエンスは1月14日、東京地裁より破産開始決定を受けた。同社は昨年12月に再度の資金ショートを起こし、経営の行き詰まりが表面化していた。

 レノバサイエンスは、生命科学やバイオテクノロジー(生命工学)などの研究に使用される理化学研究機器の販売のほか、一般試薬の販売も手掛けていた。

 顧客は大学や研究機関、民間企業の研究所などで、景気変動の影響を比較的受けにくく、安定した受注を確保。業績は堅調に推移し、2014年9月期には売上高51億4269万円をあげていた。しかし、安定した受注の一方で、利益面は低収益で推移していた。これに加え、繁忙期と閑散期の収支のズレにより、旺盛な資金需要を余儀なくされていた。

 14年10月以降はノンバンクなどから債権譲渡登記が設定されるなか、15年12月25日をもって事業を停止するとともに、債権者から破産を申し立てられていた。

 ▼日ノ本合成樹脂製作所 日ノ本合成樹脂製作所は再度の資金ショートを起こし、1月7日に経営が行き詰まった。取引先によると「2015年10月頃に社長が亡くなった後、すぐに廃業した。その後は連絡も取れなくなった」とされた。

 日ノ本合成樹脂製作所は「HGS」のブランド名で、分子構造模型の製造を主体に事業を展開していた。「DNA-A型」や「メタンハイドレート」などの化学品、アスピリンなどの医薬品の完成模型品、さまざまな薬品の分子構造などのパネル模型、約100種類の薬の分子模型などの製造を手掛け、学生や受験生向けに販売を行っていた。

 ピーク時の1992年12月期には売上高約4億円をあげていたが、IT化に伴う分子構造の専用ソフトの台頭や学生の減少などから売上高が徐々に落ち込んでいった。

 2014年12月期の売上高はピーク時の4分の1以下の8236万円まで減少。赤字を散発して債務超過額が拡大、資金繰りが悪化し今回の措置となった。(東京商工リサーチ)

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【会社概要】レノバサイエンス

 ▽本社=東京都文京区

 ▽設立=1987年4月

 ▽資本金=1000万円

 ▽事業内容=研究用機器の販売

 ▽負債総額=約23億3000万円

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【会社概要】日ノ本合成樹脂製作所

 ▽本社=東京都目黒区

 ▽設立=1954年3月

 ▽資本金=1000万円

 ▽事業内容=分子構造模型の製造

 ▽負債総額=3億2119万円

 (2014年12月期決算時点)

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 〈チェックポイント〉

 レノバサイエンスは大学や研究機関向けの特殊な分野で販売実績を重ね、売上高は順調に伸びていた。しかし季節変動が大きかったため資金繰りへの影響が避けられず、資金調達に苦しんでいた。売り上げには安定感があったものの、経営の柱である資金繰りへはどれくらい意識が払われていたのか。

 日ノ本合成樹脂製作所は分子構造模型では著名なメーカー。特殊分野で需要を掘り起こし、理工系の学生などの間では重用されていた。しかしIT技術の進歩に伴い競争力を失い売上高が激減。この間、自社製品のリニューアルやIT化の導入など、ニーズにあった製品開発が進められていたのか。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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