民間企業で初、マイナス金利で短期社債発行 借りる側が利息を受け取る異例の事態

2016.3.24 21:52

 三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友ファイナンス&リースは24日、償還期限が6カ月の短期社債(コマーシャルペーパー=CP)を年マイナス0.001%の利率で50億円発行することを決めた。お金を借りる側が利息を受け取る形で資金調達するのは、国内の民間企業で初とみられる。日銀が2月に導入したマイナス金利政策に伴う異例の事態だが、社債市場では今後、こうした動きが広がる可能性がある。

 三井住友ファイナンス&リースは28日にCPを発行する。市場から50億円を調達したうえで、投資家から半年間で2万5千円の利息を受け取ることになる。

 社債市場では、ファーストリテイリングやJR東日本の社債で、マイナス利回りの取引が成立したケースがある。だが、発行段階からマイナス利率を条件にしたのは今回が初めてだ。

 投資家にとっては、社債を期限まで保有した場合、確実に損をする仕組みだ。ただ、日銀は金融緩和の一環として、どんな利回りでもCPを買い入れている。マイナス利率の社債を購入し、さらに利回りが低下(価格は上昇)した時点で日銀に売却すれば、利益を得ることが可能だ。このため三井住友ファイナンス&リースは、一定の需要が見込めると判断し、発行に踏み切った。

 すでに日銀が発行分のほぼ全てを購入している普通国債は、発行金利がマイナスになり、借金をする側の国にもうけが生じる逆転現象が生じている。マイナス金利で入札した投資家も日銀への転売で利益を出している。同様の構図が社債市場にも波及した形だが、企業の資金調達で、日銀に最終的な負担を回す“ゆがみ”も指摘される。

 マイナス金利で運用難にあえぐ機関投資家の需要から、償還期限が超長期の社債を発行する動きも目立つ。JR西日本は償還までの期間が40年の普通社債を民間企業で初めて発行。利率は年1.575%の低利となった。

 三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「企業の信用力の差もあるが、今後、マイナス利率の社債が増える可能性がある」と指摘した。(飯田耕司)

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