ホンダのスマート水素ステーションは燃料電池車の普及を後押しする

2016.3.27 17:02

 ホンダが新しい燃料電池車「クラリティ フューエルセル」を発表しました。

 初年度は200台程度のリース販売を目標としているこのクルマは、過去にホンダがリース販売していきた燃料電池車(FCX、FCXクラリティ)よりも高圧な70MPaの圧縮水素タンクを採用しているのもニュースのひとつ。

 これにより、トヨタMIRAIと同じ70MPaとなり、水素ステーションの設備としては共通化したわけですが、いずれにしても高圧水素のインフラ整備はまだまだ普及フェイズというには程遠い状況です。

 電気自動車であれば、急速充電器がなくとも普通充電用のコンセントを設置すれば使う場所を選ばないといえますが、燃料電池車では水素インフラがなくては動かすことができません。

 事実、常設の水素ステーションは北は埼玉県から南は福岡(移動式を除く)まで80か所程度しかなく、燃料電池車を運用できるエリアは限られます。

 そこで、ホンダは燃料電池車「クラリティ フューエルセル」の発売にあわせて、「SHS(スマート水素ステーション)」を発表しています。

 水素製造大手の岩谷産業と共同開発したというSHSは、高圧水電解システムを搭載した小型のパッケージ型水素ステーション。一日の製造能力は3~4台分といいますから、商用ステーションとしては能力不足だということですが、現在の普及台数であれば十分にカバーできるともいえます。

 設置場所は許可の面から用途地域を選ぶといいますが、たとえば複数台を運用する企業が自社敷地内に設置するだとか、ディーラー(販売店)に設置するといった使い方を想定している水素供給ソリューションなのです。

 いわゆる商業ステーションの隙間を埋めることで、燃料電池車の運用に困らないよう、ユーザーをインフラ面からサポートするというわけです。

 もともと、ホンダは燃料電池車を開発している初期段階から、こうしたパーソナルな水素ステーションの研究に熱心で、太陽光発電を利用した水素ステーションの実験もしていました。

 今回発表されたSHSについても、再生可能エネルギーを使うことで、燃料電池車の運用レベルでゼロ・エミッションとすることが期待されています。

 (写真:小林和久 文:山本晋也)

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