フィリピン留学とオンラインで英語力アップ キュウ急便・藤岡頼光代表取締役

2016.5.10 05:00

 企業のグローバル化が進展し、訪日外国人が急増していることもあり、英会話への関心が高まっている。オンライン、海外留学などさまざまな方法があり、業界は熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている。バイク配達事業のキュウ急便は、「QQイングリッシュ」として、オンライン英会話とフィリピンでの学校運営を手掛けている。キュウ急便の藤岡頼光代表取締役は「英語が話せると世界が変わる。本気で身につけたい人をサポートしたい」と話している。

 --フィリピンで最大規模の英語学校を運営している

 「世界的なリゾート地として知られるセブ島の中心部とビーチリゾートの2カ所にある。オンラインと学校を組み合わせて上達を図る。日本にいるときはパソコンやスマートフォンで学び、学校や会社の休みに短期留学をして実力をアップしてもらう。生徒の多くが日本人だが、アジア、欧州、アフリカの各国にも受講者がいる」

 --なぜ、バイク便事業から英語に

 「バイク便とともに、オートバイの輸入業もしていたが、通訳を介して商談をするのがもどかしく、英語をマスターしようと思った。予算と時間の制約があったので、英米より近くて安いフィリピンに留学した。フィリピン人の英語能力は予想以上に高く、教え方も上手だった。私自身が通訳なしで商談ができるまで上達したこともあり、ビジネスチャンスを見いだして参入を決めた。2009年にオンライン英会話事業を始め、12年に学校運営も本格化させた」

 --英会話事業は競争が激しい。どう差別化しているのか

 「750人の講師は全員正社員として終身雇用している。月収は3万~5万円で同業他社より高く、転職が盛んな国であるにもかかわらずほとんど辞めない。講師採用試験の競争率は100倍に達し、全員が教員免許か国際英語教授資格(TESOL)を取得しているため、質が高い。1日3交代制で勤務し、早朝と深夜はオンライン、昼は教室で教える。学校は治安がよい場所に立地している」

 --具体的な成果は

 「明治大学の学生21人を対象に80日間オンラインレッスンを受講してもらった。すると受講前と後でTOEICのスコアが平均で110点、最高で250点アップした。受講した全学生が結果に満足し、今後も継続したいと答えている」

 --今後の成長戦略は

 「学校運営にさらに力を入れる。口コミで知名度が上がり、毎年のように留学生が急増している。昨年末時点で延べ3000人だが、今年中に5000人に達するだろう。新しい大学入試では文部科学省が、英語の4技能をバランス良く評価する方針を打ち出している。とくに話す、聞くについて当社のプログラムは有効で、中学、高校からの問い合わせが相次いでいる。オンライン英会話は日本の学校30校に導入されているが今年中に2倍に増やす計画だ」(佐竹一秀)

                   ◇

【プロフィル】藤岡頼光

 ふじおか・らいこう 埼玉県川口市立県陽高卒。1992年、バイク配送センターを設立し、社長就任。2006年、キュウ急便と合併し、キュウ急便社長、09年から現職。50歳。埼玉県出身。

                   ◇

【会社概要】キュウ急便

 ▽本社=東京都杉並区永福4-13-4

 ▽設立=1987年5月

 ▽資本金=1億円

 ▽従業員=1000人(2016年3月末時点)

 ▽売上高=15億円(15年9月期)

 ▽事業内容=バイク配達便、輸入スクーター販売、オンライン英会話・英会話学校運営

閉じる