ローランド、電子ドラム用ペダル開発 マンションでも気兼ねなく演奏

2016.5.20 05:00

 ローランド(浜松市北区)は、自宅での練習に適した電子ドラム用のペダル「KT-9」を開発した。ドラムセットの中で最も音が大きくなる「バスドラム」をたたく「ビーター」を取り除き、代わりに新開発の「リンク構造」を導入し、ペダルの踏み込み具合を感知して、音に変える。これによって生の打撃音や踏み込み時のノイズをなくし、室内や階下への騒音を大幅に減らした。

 また、同じ構造を採用したハイハット・シンバル用のペダル「FD-9」も開発。これらを組み込んだ電子ドラムセットやペダル単品でも発売した。静粛性を武器にマンション居住者などの潜在需要を掘り起こしていく。

 電子ドラム「V-Drums」シリーズは、電子式ではないアコースティック・ドラムに比べて圧倒的に静かでヘッドホンで音を聞きながら演奏できるため、自宅で電子ドラムを購入する層が年々増えている。

 その一方で、ビーターが付いている電子ドラムでは、打撃音やペダルを踏む際に発生する振動が、床面を通じて階下に伝わりやすいことを懸念する声も少なくない。

 バスドラム用のKT-9では、「物理的な接触を無くすことによって、すべて宙に浮く機構とした」(森井和秀・営業推進部ドラムグループリーダー)。ペダルの踏み込み具合をセンサーで感知し、ケーブルを通じてドラム本体に伝える仕組み。同じ部屋内での騒音を85%削減。階下への騒音も3分の1のレベルまで引き下げることに成功した。また、FD-9も同室内での騒音が半減する。

 同社は電子ドラムの防振対策に力を入れており、これまでに塩ビ製のマットや緩衝材、木によって構成されている「ノイズ・イーター」を販売している。今回開発したペダルと組み合わせれば、より大きな効果が認められるという。

 シニア世代が再び音楽を始める動きなどに支えられ、同社の電子ドラム売り上げは、年2桁の伸びを示している。自宅でも練習しやすいドラム・セットを投入することによって、新たなユーザーの獲得を目指す。

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