【株主総会詳報・シャープ(5)】威勢良く「有機ELで韓国勢に追いつく」 会場から拍手

2016.6.23 12:30

 鴻海傘下入りについて株主から厳しい追及が相次いだが、一方でシャープファンからの温かい激励と受け取れる質問もあり、緊張した経営陣の表情も少し緩んだ。

 ある男性株主は「鴻海に決まってほっとしている。私は(シャープのライバルでもある液晶大手の)ジャパンディスプレイ(JDI)の株主でもあるが、株を買ったらすぐに大幅な業績修正をした。投資家をばかにしている。(JDIを参加に置く)産業革新機構でなくてよかった」と経営陣を援護射撃。

 「御社のディスプレイはJDIに比べてどんなところが優れているのか。米アップルが有機ELをスマートフォンに搭載しようとしているが、シャープの開発状況は」と質問した。

 液晶事業を統括する桶谷大亥常務執行役員が登壇し、「ありたがく力強いお言葉に感謝します」と礼を述べた後、「JDIの液晶はG6と呼ばれる比較的小さなサイズのガラス基板でないと対応できない。シャープはG10という大きなサイズまで対応ができる」と自信を込めて語った。

 「有機ELは、量産ラインは持っていないが、基礎検討は十数年やっている。特許と技術を数多く保有している。鴻海の力を借りるということは出口があり、たくさんの顧客がいる。韓国勢にも一気に追いついていきたい」と威勢良く述べると、会場から拍手が起こった。

 別の男性株主は「鴻海の郭(台銘)会長の勇気ある決断に心から感謝する。シャープブランドに魅力を感じてくれている。私は以前、英国でシャープ製品の販売を担当していた。辻晴雄社長(当時)に米国の責任者に抜擢してもらい、トヨタよりシャープのブランド評価が高くなった。そのシャープが消えつつある」とシャープへの愛着を語った。

 さらに、「海外戦略を具体的にどう考えているのか。また、高齢化社会での戦略が全然みえない。高齢者という一番お金を持っているマーケットを無視して、若い者にしか受けない製品を出している。高齢者は大きいテレビの画面は離れないとみえず、そうすると音が聞こえにくい」と訴えた。

 高橋社長は「海外については、これまでは欧米で事業規模を縮小せざるを得なかったが、鴻海の出資で大きく方向性を変えていく可能性がある。高齢者向けには、ドクター佐々木(佐々木正・元副社長)からアドバイスを得て『ロボットどうや』という話が出て、ロボホンが生まれている」と説明した。

閉じる