2016.10.8 05:00
東証1部上場の呉服小売りチェーン、さが美をめぐり、投資ファンド2社による争奪戦の様相を呈している。さが美の親会社にあたる旧ユニーグループ・ホールディングス(現ユニー・ファミリーマートホールディングス)は8月、アスパラントグループ(東京)に売却すると発表、アスパラントはさが美の株式公開買い付け(TOB)を実施中だ。
これに対抗し、ニューホライズンキャピタル(東京)がアスパラントを上回る株式買い付け価格を示して買収を提案している。
さが美は呉服市場の縮小などが逆風となり、本業のもうけにあたる営業損益が2016年2月期まで5期連続で赤字となるなど、業績不振が著しい。旧ユニーはファミマとの統合を9月に控えた8月17日に、保有するさが美株のすべて(全体の55.49%)をアスパラントに売却すると発表。これを受け、アスパラントは翌18日から10月11日までの期間でTOBを進めている。さが美も、アスパラントのTOBに賛同している。
これに横やりを入れたのがニューホライズンだ。9月27日に、アスパラントのTOB価格(1株56円)を上回る1株70円で買い付けるとユニー・ファミマに提案したと発表。30日にはアスパラントを約60%上回る1株90円に引き上げた。
ニューホライズンは「当社の提案はユニー・ファミマやさが美の株主らの利益に資する。(買い付け価格が下回る)アスパラントを選ぶのなら説明責任が発生する」と強調した。
ただ、市場には「買い付け価格だけでなく、提案内容全般が評価の対象」との声もある。
一方、ユニー・ファミマは「ニューホライズンから正式な申し入れを受けていないためコメントは差し控えたい」との認識を示しており、ニューホライズンの次の一手が注目される。
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■さが美をめぐる経緯
8月17日 ユニーグループHD(当時)が、子会社のさが美をアスパラントグループに売却すると発表
18日 アスパラントが1株56円でさが美のTOBを開始(期間は10月11日まで)
9月27日 ニューホライズンキャピタルが買い付け価格1株70円で買収提案したと発表
30日 ニューホライズンが買い付け価格を1株90円に引き上げ
※HDはホールディングスの略