大手百貨店で進む“他力本願” 集客力ある異業種テナント続々 ニトリ、ポケモン…

2016.12.2 06:36

 大手百貨店が、家具小売りなど集客力のある異業種のテナント誘致に力を入れ始めた。1日には高島屋新宿店が入る商業施設に家具大手「ニトリ」が、大丸札幌店には人気キャラクターを扱う「ポケモンセンター」がそれぞれオープン。これまでにない店舗で、顧客層の拡大につなげる。専門店やネット通販の台頭などで収益が頭打ちとなるなか、訪日外国人の“爆買い”にも陰りが見えており、各社はビジネスモデルの転換を急いでいる。

 「夢にまで見た新宿に出店するのは光栄だ」。高島屋が新宿駅南口で手掛ける商業施設に出店したニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は、1日の式典でこう話した。都市部での出店を拡大したいニトリと、集客力を高めたい高島屋の思惑が一致。高島屋にとっては9月の港南台店(横浜市)に続く2店目のニトリ誘致となる。高島屋の秋山弘昭専務は「車で来店する人が多いニトリの顧客層を取り込める」と説明する。

 ニトリをめぐっては、東武百貨店も来年3月、池袋本店(東京都豊島区)に出店する計画だ。集客力の高いニトリは、テナントの目玉として引っ張りだこだ。

 一方、大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングは1日、大丸札幌店(札幌市)に人気キャラクター「ポケットモンスター」の関連商品を扱う店舗「ポケモンセンター」を開設。幅広い年代の集客につなげる狙いだ。

 J.フロントは大丸梅田店(大阪市)などで、「ユニクロ」や「東急ハンズ」などの専門店を出店。山本良一社長は「時代の変化に合ったブランドや専門店を探す」とし、今後も積極的に誘致していく方針だ。

 大手百貨店4社が1日発表した11月の既存店売上高速報は、三越伊勢丹ホールディングスなど3社が前年同月比で減少した。日本百貨店協会によれば、売上高は10月まで8カ月連続の前年割れで、11月もマイナスの見通しだ。

 ライフスタイルの変化や常連客の高齢化などで、衣料品や食品を中心とした従来の百貨店のビジネスモデルには限界も見え始めており、各社は抜本的な構造改革に迫られている。(大柳聡庸)

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