孫正義氏の手法を踏襲 数値で米経済への貢献示す トヨタ社長

2017.1.10 21:33

 トヨタ自動車が米国で大規模投資を表明したのは、米国での投資・雇用確保を最重要公約に掲げるトランプ次期米大統領の批判をかわす思惑からだ。今回の投資方針の打ち出し方は、昨年12月にトランプ氏に会い、4年で5・7兆円の投資を表明したソフトバンクグループの孫正義社長と同じ手法。孫氏の計画を称賛したトランプ氏がトヨタにも理解を示せば、“孫氏の兵法”が対応策として広がる可能性もある。

 トヨタの豊田章男社長は9日の会見で、米国でのこれまでのトヨタの投資実績を強調した上で、今後の投資計画を打ち出した。トヨタの過去60年の年平均の米国投資額は3・7億ドルで、5年平均では18・5億ドル。

 これに対し、今後5年の投資額はその5・4倍の巨額にのぼる。トヨタは今回、100億ドルに向けた具体的な計画を明らかにしていないが、既に決まっていた計画がほとんどという。そうした積み上げの計画数値をひとまとめにして巨額投資の姿勢を示し、米経済への貢献を表明することを優先したとみられる。

 “先例”は孫氏。昨年12月に米への巨額投資を表明した孫氏をトランプ氏が「偉大な男」と持ち上げたからだ。ただ、その時と違うのは、トランプ氏が批判するメキシコ新工場建設をトヨタが予定通り進める点だ。

 株式市場では、今回のトヨタの投資表明を前向きに評価する声も聞かれたが、トランプ氏の批判を封じられるかは予断を許さない。(今井裕治)

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