春節の中国人客増加へ “爆買い”から体験型に完全シフト 世界遺産ツアーに注文殺到

2017.1.26 20:03

 27日からの春節休暇を前に、旅行業界が中国人客に広まる体験型などの「コト消費」対応を加速させている。「着地型」と呼ばれる国内ツアー強化のほか、業界内での連携も進む。休暇中の中国人観光客数は増加が見込まれ、旅行支出に占める宿泊や交通の割合も増加傾向で、業界への追い風となっている。

 「中国は沿岸部のリピーターと内陸部からの初来日客の組み合わせで、相当な伸びがありそう」。日本政府観光局の松山良一理事長は26日の会見で、春節期間中の訪日客数増加に自信を見せた上で、「完全に体験型に需要が移っている」と消費傾向を分析した。

 軽井沢プリンスホテル(長野県)は今回、例年実施する餅つき以外にも、おとその試飲など伝統文化を楽しめるアトラクションを前年の3倍に増やした。中国で年越しに食べる風習がある水餃子などの点心メニュー充実も図り、予約段階の稼働率は約85%と前年より7.5ポイント上昇した。

 訪日客向け国内ツアーを手がけるJTBは29、30日限定で世界遺産・五箇山(富山県)のライトアップツアーを企画したところ注文が殺到。春節時期の五箇山方面のツアー参加者数が前年の約12倍となった。

 西武、京急、東武の民鉄3社は台湾鉄路(台北市)と連携し、「パワースポット巡り」を共通テーマにした国境をまたいだスタンプラリーを27日から実施する。

 商圏拡大の動きも出ている。日本航空グループのジャルパックは17日から、タイ向けに航空券と宿泊施設を自由に組み合わせるパックツアーの販売を始めた。歴史問題を理由に中国から抗議を受けるアパグループは「特定の国に絞らず集客強化を進める」と、海外の宿泊予約サイトでの訴求を続けるとしている。

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