働きがい提起、地方へ呼び込み 「セルフターンプロジェクト」発足

2017.4.5 05:00

 ■日本人材機構など

 地方創生を目的として政府主導で設立された日本人材機構(東京都中央区)と、起業家支援のNPO法人エティック(同渋谷区)、人材紹介業のビズリーチ(同)は、政府が進める働き方改革を促し、地方への人材流入を目的とした「セルフターンプロジェクト」を発足させた。自分らしい働き方を探すことを「セルフターン」と定義づけ、大都市からの移動を促進することで地方の活性化を図る。今後、啓発イベントなどを通じて浸透させていく。日本人材機構の小城武彦社長は「日本の国内総生産の約6割を占める地方は大きな成長の可能性を秘めている。地方創生は日本の希望だ」と期待を込める。

 地方の中小企業では活性化のための事業モデルや業務プロセスの改革のための経営幹部人材が不足している。一方、日本人材機構が東京勤務の大手企業管理職1640人を調査したところ、同年代で能力を発揮し活躍している人の割合を3割以下と回答した人が半数以上だった。また、キャリアをやり直せるとしたら転職したいとした人も過半数に達した。調査結果から、十分なやりがいを感じていない都市部の人の働き方の見直しを促すことで、高い潜在能力を持つ経営幹部候補として地方企業とのマッチングを図る。

 同プロジェクト推進のため、これからの働き方を発信するオンラインメディア「セルフターンオンライン」を開設したほか、地方創生・地域経済のニュースメディア「グローカルミッションタイムズ」を4月中旬に立ち上げる。さらに認知度向上のためのプロモーションや関連セミナー、イベントのほか、各種調査なども実施する。

 IT関連企業のジェイ・エス・エス(新潟市中央区)の秋田叔之社長は、東京一極集中に疑問を持ち、大学時代を過ごした新潟の会社に転職してセルフターンを実践した。「のどかなところでエンジニアにとって最高の環境。ワークスタイル自体が変わり、来てよかった」と話す。

 これまでUターン、Iターンなど、都市部からの人材流動が進められてきたが、思うような地方活性化にはつながってこなかった。小城社長は「自分らしい働き方について問題提起することで、地方への転職を考えるきっかけを生み出したい」としている。

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【会社概要】日本人材機構

 ▽本社=東京都中央区日本橋2-1-14

 ▽設立=2015年8月

 ▽資本金=250万円

 ▽従業員=30人

 ▽事業内容=人材紹介など

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【会社概要】ビズリーチ

 ▽本社=東京都渋谷区渋谷2-15-1

 ▽資本金=41億円(資本準備金を含む)

 ▽従業員=786人

 ▽事業内容=人材領域のインターネットサービス

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