【ハザードマップ】デジックス/電現ソリューション

2017.4.6 05:00

 ■急成長の半面、資金繰り追い付かず

 ▼デジックス デジックスは3月30日、東京地裁に破産を申請した。

 同社は、特許管理などを目的にDC総研として設立。2008年4月に流通関連の情報処理サービスへ主力事業を転換し、現商号に変更した。電子決済処理を中心としたシステム開発などを手掛け、これまでに高額決済自動承認システム「プラズマシステム」、店舗POS決済システム「DIGI-CAT」などの開発実績があり、複数の特許なども保有していた。

 近年はクレジットカード決済情報処理事業、ECクラウドサービス(加盟店に対するウェブ委託販売サービス)などが牽引(けんいん)して業績を拡大し、16年6月期は過去最高の売上高約70億8800万円を計上。また、関連会社を通じてリース保証事業やセキュリティーカメラサービス、個人認証サービス事業などの多角化も進めていた。

 しかし、業容の拡大でシステム投資負担が経営を圧迫。採算性の悪化で資金繰りは厳しさを増し、昨年12月も債務整理を弁護士に一任していた。

 ▼電現ソリューション 電現ソリューションは3月31日までに事業を停止し、破産手続きを弁護士に一任した。

 設立当初は個人住宅向けに省エネ住宅設備、ソーラーシステムなどの省エネ製品の訪問販売事業を展開。再生利用可能エネルギー特別措置法に基づく再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の開始以降、太陽光発電の需要増を追い風に2013年から屋根貸し太陽光発電事業「ヤネナビ」の運営を開始するなどして業態を大きく転換した。

 13年9月からは分譲太陽光発電事業「ソーラーマーケット」を開始、個人投資家向けに太陽光発電事業への投資事業もスタート。近年は不動産購入から設計、施工まで一体となったメガソーラー発電の開発や分譲販売事業が拡大し、16年1月期の売上高は過去最高の53億9139万円となった。

 しかし、運転資金需要の増加やコスト増により資金繰りが悪化。昨年後半以降は取引先への支払い遅延が散発していたが、ここへきて資金繰りも限界に達し今回の措置となった。

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【会社概要】デジックス

 ▽本社=東京都渋谷区

 ▽設立=2006年10月

 ▽資本金=2億3800万円

 ▽負債額=約40億4000万円

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【会社概要】電現ソリューション

 ▽本社=東京港区

 ▽設立=2011年2月

 ▽資本金=2000万円

 ▽負債額=16億8647万円(2016年1月期決算時点)

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 〈チェックポイント〉

 デジックスは、電子決済処理のシステム開発で特許を取得するなどで他社にはない優位性を確立し、幅広いサービスをもとに事業の多角化も進め関連会社も相次いで設立した。しかし、急成長の一方で先行投資負担が重荷となり、資金繰りが逼迫(ひっぱく)した。成長、収益、資金調達などのバランスは考えられていたのか。

 電現ソリューションは、再生可能エネルギーの買い取り制度を追い風として事業拡大に弾みをつけ、最近ではメガソーラー発電や不動産分譲などにも事業を拡大し、急成長していた。半面、事業の急拡大に先行投資などへの資金繰りが追い付かなくなった。そこに至るまでの資金対策は練られていたのだろうか。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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