三井不動産、シェアオフィスを本格展開 本社に戻らなくても仕事ができる

2017.4.7 06:21

 三井不動産は6日、法人を対象とするシェアオフィス事業に本格参入したと発表した。外回りの営業マンが本社に戻らなくても仕事ができるなど、さまざまな機能を持つ拠点とし、テレビ会議システムを備えた会議室や1人用の個室など多彩な空間を提供する。「生産性の向上など各企業のニーズに応えられるようにした」(宮田歩執行役員)。東京・汐留をはじめとして、首都圏10カ所で一斉に稼働し、17年度中に全国約30カ所で展開する計画だ。

 オフィスの名称は「WORKSTYLING(ワークスタイリング)」。広さは165~500平方メートル程度で、都内は霞が関や新宿など中心部に開設した。契約法人も三井不動産を筆頭に味の素や資生堂ジャパン、富士ゼロックスなど大手企業の参加も決まっている。契約法人の社員で、同法人から承認を受けた個人だけが利用できる。

 受付にはコンシェルジュが常駐しており、一般的な共用ワーキングスペースに比べてセキュリティーが大幅に向上した。

 また、専用のWEBアプリによって利用者の入退館履歴や会議室の利用状況を一元管理。法人は社外で働く社員の管理を簡単に行える。横浜のほか、東京・立川、千葉・船橋など都心から離れた主要ターミナル駅周辺にも展開しているため、平日に自宅周辺の病院に通院する日や鉄道事故などでダイヤが大幅に乱れたときは、地元に近い拠点で仕事を行うことも可能だ。

 17年度中には大阪や名古屋といった全国の主要都市にも進出。反応を踏まえた上で、18年度以降も順次展開していく考えだ。

 ICT(情報通信技術)環境の発達やスマートフォンの普及によって、シェアオフィス事業に乗り出す動きが活発化している。

 東急電鉄は東京・自由が丘など、東急線沿線を中心とした駅の周辺にサテライトオフィス「ニューワーク」を展開している。テレワークを導入する企業を対象としており、カフェのような空間にフリーアドレス型のデスク席を用意し、会議室やテレホンブースなどを設置している。コクヨは渋谷ヒカリエで「クリエイティブラウンジ モヴ」という共用ワーキングスペースを運営している。

 長時間労働の是正や女性の活躍など働き方改革を通じて競争力を高めようとする企業の取り組みが目立っている。目標を達成するには、効率性の追求が不可欠となってくるだけに、シェアオフィスをめぐる競争は一段と強まりそうだ。(伊藤俊祐)

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