【ベンチャー支援の現場から】インテージHD、日本土産の容器リサイクル計画

2017.6.8 05:00

 ■社内案件に初投資

 市場調査会社大手のインテージを傘下に置く持ち株会社インテージホールディングス(HD)は、SBIインベストメントと共同で設立したベンチャーファンド(基金)を通じて、インテージHDの社内ベンチャー「クロスボーダーエイジ」(東京都千代田区)に投資した。投資額は非公表だが、数千万円規模とみられる。同ファンドからの投資案件は複数あるが、インテージHDの社内ベンチャーへの投資はこれが初めて。

 クロスボーダーエイジは、訪日外国人客が来日時に土産として購入した化粧品などの使用済み容器を現地で回収。廃棄から再利用に至るリサイクルの確立を目指している。同社は投資された資金を活用し、年内の台湾南部でのリサイクル事業開始に向け、現地の大学や企業と連携し、回収拠点を数多く設ける。さらに、使用済み容器に使われているプラスチックなどを使った再生品の企画・開発などにも取り組む。

 メーカーには、回収拠点に容器を持ち込んだ人に商品啓発やブランディング、販売促進を行える仕組みを提供する。

 インテージは1960年に創業。一般消費者5万人の消費動向や全国約4000店舗のPOS(販売時点情報管理)データなど付加価値の高いデータを保有し、その活用ノウハウを持つことを強みとしているが、「これをさらに強化し、新たなビジネスを生み出す必要がある」(インキュベーション推進部の松浦正純部長)と考え、昨年10月、SBIインベストメントと共同で総額50億円のベンチャーファンド「インテージ・オープンイノベーションファンド」を立ち上げた。

 このほか2015年には東京大学系ベンチャーキャピタル(VC)のファストトラックイニシアティブ(東京都文京区)が運営する2号ファンドに、今年4月には東京工業大学系VCのみらい創造機構(同千代田区)が運営するベンチャーファンドにそれぞれ出資。大学・研究機関などアカデミアとの連携も強化し、大規模データの分析などで活用が期待されるAI(人工知能)やディープラーニング(深層学習)、IoT(モノのインターネット)といった先端分野を手掛けるベンチャー企業との協業を模索しているとみられる。

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