ドコモ、フィンテック参入 料金支払い履歴で与信 電子決済の「お釣り」で資産運用

2017.6.13 06:15

 NTTドコモが、金融とITを組み合わせた技術「フィンテック」を使った新たなサービスを今年度中をめどに始めることが12日、分かった。携帯電話契約者に関し、月々の料金の支払い状況などから融資できる金額を算出する個人向けの与信システムを構築する。また、電子決済を利用した際の「お釣り」を積み立てる個人向け資産運用サービスを、ベンチャー企業などと組んで提供する方針だ。

 与信には本人の承諾を得て、料金の支払い履歴や、ドコモのクレジットカード「dカード」の利用履歴などのデータを使用。これを基に、適正な融資額を割り出すアルゴリズム(算法)を開発中だ。毎月の利用料などを滞りなく支払っている人は、遅れが目立つ人に比べて融資できる額が増える。システムをドコモが提供し、金融機関が融資するという枠組みを検討している。

 資産運用サービスへの参入では、人工知能(AI)を使った投資助言システムの技術を持つ会社などと連携。dカードの利用額と、利用者が定めた額との差額を投資にまわす。例えば10万円に決めた場合、9万8000円を支払った月は2000円を投資し、上場投資信託(ETF)などで運用。初心者も積み立て投資を始めやすいサービスを提供する。

 ドコモの業績は好調だが、国内市場は携帯電話がほぼ普及し、人口増も望めない。安定成長を続けるには新規事業を拡大する必要があり、約7500万件という携帯契約の顧客基盤を活用していく。

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