【現場の風】日産の車両開発責任者に聞く SUVに続く業界の動きは?「今までにない形のクルマが…」

2017.8.1 06:12

 □日産自動車 第二製品開発本部部長兼車両開発責任者・村上慎一さん(56)

 --高速道路の同一車線内を自動運転する「プロパイロット」機能をスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の新モデルに搭載した

 「プロパイロットの搭載は、昨年8月に改良したミニバン『セレナ』に続き2車種目になる。エクストレイルは全世界で年間80万台以上販売している人気車種だ。幅広い層にプロパイロット機能を利用してもらいたい。セレナと異なり重心が低いので、プロパイロット機能の搭載で、より安定して走行できるメリットがある」

 --リヤバンパーの下に足先を入れて引くだけでバックドアの開閉ができる「リモコンオートバックドア」機能も搭載し、利便性が向上した

 「先代モデルに続き、車両を大きく5つの共通部品に分け、自由に組み合わせて生産する効率的な方式『CMF(コモン・モジュール・ファミリー)』を採用している。外観はフロント、バンパーなどのデザインを変更し、よりタフなイメージを強調した」

 --プロパイロット機能は電気自動車(EV)「リーフ」の新モデルにも搭載する予定だ

 「これまでエクストレイルの分だけでも数十万キロの走行テストを行っている。セレナの分と合わせると、かなりの距離の走行テストを実施してきた。車両が小さいリーフに搭載するのも技術的には難しくない。ただ、外観寸法が決まっていて、幅が狭く、背が高い軽自動車への搭載は難しいかもしれない」

 --SUVのヒットに続く業界のムーブメントは

 「今後は車型ではなく、内燃機関がどう変わるかが重要だと思う。バッテリー技術で革新が起きれば、今までにない形のクルマが作れるのではないかと期待している。クルマの性能が向上し、市場も成熟する中、購買意欲を刺激する引き金となる技術を開発していきたい」

【プロフィル】村上慎一

 むらかみ・しんいち 東京農工大工学部卒。1983年日産自動車入社。「GT-R」「エクストレイル」「キャシュカイ」などの製品開発を手掛け、「インフィニティ」などの車両開発責任者を担当。2016年7月から現職。東京都出身。

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