【株式ニューカマー】精密蒸留でオンリーワン、M&Aに意欲

2017.11.9 05:00

 □大阪油化工業・堀田哲平社長

 精密蒸留専門化学メーカーの大阪油化工業は10月5日、東証ジャスダック市場に上場した。沸点の差を利用して化成品の高純度精製を行う精密蒸留は医薬、農薬、電子材料、自動車など幅広い分野に活用されている。1949年の創業以来、国内に競合のないオンリーワン企業として高品質製品をつくり続けてきた。堀田哲平社長は「世界的にみても成長している事業分野で大きな将来性を秘めている」と自負する。

 --事業内容は

 「化学メーカーなどの顧客に対し、物質をどのような精製方法で高純度化するのかという技術の研究開発を支援し、集計データの提供や将来の生産に向けた提案を行っている。自社で蒸留設備を持たない顧客に対しては加工も受託している。内製化する企業に対しては生産技術提供のほか、プラント販売などを行う。精密蒸留に関する一貫サービスを手掛けることができるのは、国内では当社だけだ」

 --顧客の要望に変化も

 「今年で創業から68年になる伝統と1000種類以上の素材を取り扱ってきた豊かな経験が、顧客からの信頼につながっている。コンピューターの発達によって化学分野では、10年ほど前からより精密な分析が可能な装置が登場している。以降、それまで以上に高純度な素材が求められるようになった。事業の選択と集中によって研究精度を高める要請もあり、環境も変化している。こうした顧客の高度な要望に応えている」

 --なぜ上場したのか

 「競合がない事業を手掛けているため、社会的責任が大きいと感じている。創業時から同族企業だったが、上場によってパブリックカンパニー化し、事業を継続していこうと考えたのが大きな理由だ。10年ほど前から事業環境が大きく変化し、とくにここ5年は追い風になっている。一気に事業を拡大する時期に入ったと上場を決断した」

 --調達資金の使い道は

 「半分は新規プラントの建設にあてる。4分の1は、すでにあるプラントを改良して性能を向上させる。残り4分の1は、採用や、装置購入などの研究開発のために活用する」

 --今後の展望は

 「国内の市場規模は毎年約5%ずつ成長している。市場成長の追い風に乗り、M&A(企業の合併・買収)を進めていくことによって、中長期的に成長を加速させていく」

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【プロフィル】堀田哲平

 ほった・てっぺい 慶大総合政策卒。2003年マスミューチュアル生命保険入社。06年1月大阪油化工業専務を経て、14年10月から現職。38歳。大阪府出身。

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【会社概要】大阪油化工業

 ▽本社=大阪府枚方市春日西町2-27-33

 ▽創業=1949年

 ▽設立=1962年

 ▽資本金=2億6447万円

 ▽従業員=38人(2017年7月末時点)

 ▽売上高=11億3443万円(17年9月期見込み)

 ▽事業内容=精密蒸留精製、昇華精製

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