【フロントランナー 地域金融】北都銀行の地方創生の取り組み(7)

2017.12.4 05:00

 ■産業集積・雇用創出へ共同事業体

 ウェンティ・ジャパンは、設立からわずか2年で秋田市と西目町で風車を稼働させることができた。パートナーの市民風力発電が先行して開発していた風車をウェンティ・ブランドとして展開できたからだ。

 市民風力発電とのパートナーシップについて佐藤裕之社長は、「エネルギーの地産地消を希求する市民風力発電のコンセプトが、風力発電で地元を活性化するという当社のスタンスと非常に親和性があった。北都銀行のバックアップが受けられるという点で、市民風力発電にも資金調達力強化という大きなメリットがあり、ウィン-ウィンの関係」と話す。

 既に実績があった市民風力発電と組むことでウェンティ・ジャパンが手掛ける風力発電の事業計画もスムーズに進んだ。市民風力発電の事例などから、北都銀行が新たな事業の事業性を評価。プライベートファイナンス(PF)で資金調達を支援した。

 「私どものような地元企業が風力発電事業に参入できたのはPFがあるからです。銀行がリスクを取ってくれるなら、事業者も金利負担をいといません。地域金融機関の北都銀行が、メガバンクなどのビッグプレーヤーが主導してきたPFにチャレンジしてくれたことは本当に大きな意味があると思います」と、佐藤社長は評価する。

 風力発電を行う風車1基には2万点を超える部品が使われる。これは自動車とほぼ同じ規模。北都銀行とウェンティ・ジャパンの狙いは、こうした部品を製造するメーカーや保守・管理を行うメンテナンス事業者など、風力発電の付随事業による産業集積・雇用創出という側面も大きい。

 そこで佐藤社長は、2013年9月に秋田県や県内の大学を含む関係者らによる産業コンソーシアム「秋田風作戦」を立ち上げた。自らが会長に就任し、北都銀行の町田睿(さとる)会長も特別顧問に名を連ねた。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp

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