積水ハウス人事…説明に隔たり 前会長「解任」、会社側「経営の若返り」

2018.2.24 07:17

 積水ハウスが1月24日に発表したトップ交代で、中興の祖といわれる前会長の和田勇氏(76)が事実上、解任されていたことが関係者の話でわかった。同社は同日の会見で「若返りによる世代交代」と説明し、円満な人事とみられていたが、和田氏は23日、産経新聞の取材に応じ「土地取引をめぐる詐欺事件被害の責任追及をした結果、クーデターを仕掛けられた」と話した。会社側と和田氏との説明が隔たる事態になっている。

 関係者によると、同社がトップ交代を発表する前に開かれた1月24日の取締役会では、昨年、東京・五反田の土地取得で詐欺被害に遭い、55億円の特別損失を計上したことについての社外取締役らによる調査内容が報告された。

 「執行の責任は重い」との報告書の指摘を受け、議長の和田氏が当時社長(現会長)の阿部俊則氏(66)の辞任を要求。しかし、出席者11人のうち、当事者の阿部氏を除き、採決したところ、5対5の賛否同数で成立しなかった。すると、阿部氏が当時副社長の稲垣士郎氏(67)への議長交代を提案し、賛成多数で認められた。続いて和田氏解任の緊急動議を出し、可決される情勢となった。

 和田氏は取材に「クーデターで、解任されたも同然だ」と話した。和田氏は議長に辞任を促され、受け入れたという。最近は国際事業の取引先と会えず、同社と海外企業との取引見直しを懸念している。

 同社はこの取締役会後の同日午後6時半から会見し、2月1日付で阿部氏が会長に昇格し、後任の社長に取締役常務執行役員だった仲井嘉浩氏(52)が就任する人事を発表。和田氏は取締役相談役に退き、4月の定時株主総会をもって取締役を退任することも発表した。阿部氏は理由について「(和田氏も自分も)就任から10年でひとつの区切り。経営の若返りを図る」と話していた。

 積水ハウスは今月20日に公表資料を通じて、「前会長は解任という事実はなく、本人の意思による辞任で世代交代を決定した」として、トップ交代の理由を1月24日の会見の通りと発表している。

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