「次の100年へ再スタート」パナ創業の日に津賀社長 松下幸之助歴史館も開設

2018.3.7 20:42

 パナソニックは7日、創業100周年を迎えた。松下幸之助氏が大阪市の借家で起業した町工場から、世界的な総合電機メーカーへと飛躍。その幸之助氏の経営理念や歴代の家電を展示する記念施設も同日開設され、津賀一宏社長は「時代を越えて創業者の考えに触れ、力を得ることのできる貴重な場所。次の100年に向けて再スタートを切る」と強調した。

 記念施設「パナソニックミュージアム」は大阪府門真市の本社敷地内に開設。幸之助氏の歩みを映像やゆかりの品で紹介する「松下幸之助歴史館」と、歴代のヒット商品などを展示する「ものづくりイズム館」の二つの建物があり、9日から一般公開する。

 パナソニックは大正7年、幸之助氏が現在の大阪市福島区に「松下電気器具製作所」として創立した。配電用のソケットの製造・販売から事業を広げ、27年に初めて「ナショナル」の商標を使ったランプを発売。国民的なブランドを築いた。昭和10年に「松下電器産業」となり、テレビや洗濯機、冷蔵庫など多くの家電製品を世に送り出した。

 幸之助氏が平成元年に94歳で死去した後、バブル崩壊もあり経営が悪化。12年に就任した当時の中村邦夫社長は「破壊と創造」を掲げて大規模なリストラに踏み切った。20年にはグローバル化に対応するため社名を「パナソニック」に変更し、プラズマテレビに積極投資するなど攻勢をかけたが、韓国や中国勢との競争激化で巨額赤字に陥り25年に撤退を決めた。

 現経営トップの津賀社長は、創業以来の中核事業だった家電に依存する経営からの脱却を表明し、自動車や住宅関連分野を新たな経営の柱に据えて改革を進めている。

 特に電気自動車(EV)向けなどの車載用電池は、21年に買収した三洋電機の生産技術や設備も生かして世界シェア首位を確保。ただ足元では電池の供給先である米EVメーカー、テスラの新型車の生産遅れの影響で採算が悪化するなどの課題も出ている。

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