【フロントランナー 地域金融】北上信用金庫の地方創生の取り組み(7)

2018.3.7 05:00

 ■農畜産物のブランド化にも取り組む

 北上信用金庫が支援する「地方創生地域づくりデザインプロジェクト」の参加事業者は、2016年に4社、17年に2社が新たに加わり、全12社となった。初めは菓子店などがメーンだったが、農家や6次産業化に取り組む事業者なども加わり、商品ラインアップも年々増えている。

 プロジェクトが地域に浸透したことで、新たな動きも出てきた。17年からプロジェクトに参加したパン販売店の鈴木智之さんはプロジェクトの活動に興味を持ち、自ら参加を希望したという。

 「デザイナーの方にうちの店の看板のデザインをしてもらいたいと思ったことが、参加のきっかけ。プロジェクトの参加者の方と話し合う中で、看板のデザインだけではなく、商品開発面でも連携できないかという提案をいただきました」という鈴木さん。現在はレストランの創業にも取り組んでいる。商品化を進めているのはレストランで提供する予定の、地元の淡水魚・イワナを使用したソースだ。

 また、進行中の取り組みには岩手県の地鶏「南部かしわ」のブランド化もある。西和賀町は山菜などの農産物の生産は盛んだが、畜産物の生産は少ない。地元の旅館業者「山人」は、旅館で提供する料理のレパートリーを増やすため、大学や研究機関と連携し、西和賀で南部かしわの商品を開発するための研究を行っていた。

 プロジェクトチームは、この南部かしわをユキノチカラのブランド商品にすることで、地域の新たな名産品としてPRすることを提案し、山人を営む高鷹政明社長や町内の生産者が設立した「いわてにしわが南部かしわプロジェクト」が発足。加工処理施設の整備は国の地域経済循環創造事業交付金を活用し、北上信用金庫が資金面で支援を行った。昨年11月には商品第一号となる南部かしわのスモークチキンをふるさと納税の返礼品として出品。今後は飲食店など事業者向けの商品の販売なども視野に商品開発を進めていくという。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp

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