UACJ、首脳人事撤回も 大株主の古河電工反対、退任含め検討

2018.4.5 05:54

 アルミニウム圧延品最大手のUACJは4日、2月27日に公表した首脳人事について、撤回を含め再検討していることを明らかにした。会長に留任する山内重徳氏(69)と、副会長に就任する社長の岡田満氏(61)は代表権を維持する予定だったが、24.9%を出資する筆頭株主の古河電気工業が反対しているため、両氏の退任を含め検討に入った。UACJでは、大株主の意向を無視できないと判断したとみられる。

 石原美幸取締役常務執行役員(60)が6月21日付で社長に昇格する人事は維持する一方、山内氏と岡田氏は相談役や顧問に就く方向で検討しているもようだ。UACJは4日、「再考要請を受けて関係先と誠実に話し合いをしている」とのコメントを発表した。

 当初案では、山内氏、岡田氏、石原氏の3人が代表権を持つ予定だった。しかし古河電工は「石原氏の社長就任に異存はない」とする一方、「3人が代表権を持てば経営責任が曖昧になる」として、山内氏と岡田氏の退任を要求。6月の株主総会で反対票を投じる意向を表明していた。第2位株主で7.74%を出資する新日鉄住金も同調しており、両社が反対すれば人事案が否決される可能性があった。

 UACJは、古河電工子会社だった古河スカイと、住友金属工業(現新日鉄住金)系の住友軽金属工業が2013年に経営統合して誕生した。18年3月期の連結売上高見通しは6300億円で、アルミ圧延品の国内最大手だが、統合後は業績が低迷。古河電工は経営陣の「実績が不十分」としていた。

 住軽金出身の山内氏と石原氏、古河スカイ出身の岡田氏が代表取締役になれば、1人ずつ代表権を持つ「二頭体制」が崩れ、影響力が弱まることも反対理由とみられる。

 一方、3月末には旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントがUACJ株6.79%を取得して大株主になったことが判明。「物言う株主」として独自の提案を行う可能性がある中、UACJの対応には混乱を避ける思惑もありそうだ。

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