【仮想通貨流出】業界「転換期」、大手参入で信頼回復なるか

2018.4.6 22:35

 コインチェックの再建は多難も予想されるが、インターネット証券という新たな業界を牽引(けんいん)してきたマネックスグループの手腕には期待も寄せられている。業界全体の信頼を取り戻すことにつながる可能性があるからだ。今年に入ってから価格の下落傾向が続く仮想通貨だが、このまま一時のブームとして終焉(しゅうえん)していくのか、生活に根ざしたものへと発展を遂げることができるのかは専門家でも意見が分かれており、業界は大きな転換期を迎えている。

 「大手の参入でセキュリティーや法令順守の面で業界水準が高まるとことを期待したい」。大和総研の矢作大祐研究員は今回の買収の動きを業界が信頼を取り戻す好機と歓迎する。

 仮想通貨交換業には、インターネット通販などを行うヤフーや無料通信アプリを提供するLINE(ライン)なども参入を表明している。こうした企業が価格変動を抑えた通貨を発行することも考えられ、矢作氏は「仮想通貨が投資だけでなく決済手段になる可能性も高まる」と話す。

 一方、メガバンク出身で仮想通貨にも詳しい帝京大の宿輪純一教授は「本格的に決済で使われるとは考えにくい。投資商品の一つとして生き残っていくだろう」と話す。仮想通貨は犯罪に使われるリスクが高いとして規制強化の流れが強まっており、20カ国・地域(G20)の会議でも仮想通貨を「暗号資産」と呼び、あえて「通貨」という表現を避けているからだ。

 ある仮想通貨交換業者の社長は、仮想通貨が今後無価値になるリスクはあるとしながらも、生存競争に勝ち残った一部の仮想通貨がドルやユーロのような国際通貨として認められれば、「その価値は今のような水準であるはずがない」と述べ、今後も相場が大きく上昇する可能性にも言及した。(蕎麦谷里志)

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